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2007年5月18日 vol.555  
Today's President

ユーティルホールディングス株式会社
代表取締役 打田 光代 氏

子ども心にどこかひっかかるものがありました

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ここには、ピリピリと張りつめた空気はありません。あるのは静寂とやわらか な陽ざし。白金に接した伝統の地、四季色とりどりに過ぎゆく池田山公園を眼 下にのぞむ南斜面。ここには、あなたをビジネスから完全に切り離し最高の休日 を約束する東京があります。この大都会が、いま、生涯の街になる。あなたを 「東京」から開放する「東京」。フォレセーヌ池田山公園。
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プレジデントインタビュー

子ども心にどこかひっかかるものがありました


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【増永】 25歳で役員になられて、実際にはいかがでしたか。

まず会社経営の目線でさまざまな業務に携わらせていただいたので、非常に勉強になりました。もし私がトップであれば、こんなふうに考えるな・・・といったシミュレーションもできる良い機会でもあったんです。

その会社の社長は、とてもビジネスの上手な方でした。会社としての業績も非常に良かったですし、学ぶべきところがたくさんありました。

● いちばんの課題はどのようなことでしたか。

利益を出すことの難しさですね。中小企業ならいつでも直面する当然の課題です。それを解決するには、売上げを多く上げて、いかに原価・コストを抑えるかということに尽きます。

もともと私が社長になりたいと思ったきっかけは、祖父が自営業をしていたことです。その頃というのは、社長である祖父は非常に豊かな暮らしぶりでした。しかしその下で働く社員さんたちは・・・みんなそれほど裕福ではなかったんです。

そのギャップに、子ども心にどこかひっかかるものがありました。祖父の富の一部を、社員のみんなに少しでも分けてあげれば、社内的にもモチベーションが高まり会社にとっても絶対に良い方向につながるはず―そういうことを本能的に感じていました。

だからそうした点もクリアにしたリベラルな感じの会社をつくりたいと漠然ではありますがそう思っていたのです。

たまたま20代でお世話になることになった会社の社長は、経営手腕の長けた方。私腹を肥やすだけとか、そういう方ではないのですが・・・ビジネスとして利益を創出することを徹底的に追求されている方でした。

ですから下請会社に対してはコストの引き下げ交渉を重ね、できるかぎり安く収める。そして従業員に対しての待遇面も、ギリギリのところに抑えていたのです。

個人的にはとても良く面倒を見ていただけたのですが、もっとみんなに対しても分け隔てなく接してくれたら、会社はより良くなるのに・・・まだまだ私も青二才でしたから、そんなふうにも感じていました。祖父も同じような感じでしたから、どこかそれが反面教師的に私のなかで増幅していったのです。

その結果、自分であればユートピアのような、みんながもっと楽しく働ける会社をつくるんだ―ここの会社は、そう思う気持ちを強くした場でもありましたね。


 
 
President
 

リベラルな感じの会社をつくりたいと漠然ではありますがそう思っていたのです。



● どのようなタイミングで退社を決意されたのですか。

ある程度自分の後進となる人物が育ち、私が会社から抜けてもまったく影響が出ない状況だと判断したときです。それまでに12年もかかったのです・・・。

厳しい社長でもあったので、従業員が「仕事が辛い」などと口に出すと、「いや、そんなものは気持ちの問題だ」と返していました。そして「打田さんを見てごらん。あんなに働いているけど、病気一つしないよ」と、私が変なサンプルとして出されていたのです。

そうなってくると「打田、病気になれよ」などと、私が敵視されるような状況になってしまいました。

その頃には私もマネジメントをする立場でしたし、自分自身のことに関しては割り切って受け止めていたのですが・・・他の社員に対する態度が多少厳しい面もあり、辛かったですね。

見ていて特に辛かったのは、優秀な方たちが多く入社してくれるけれども、社員に対する待遇的な面が受け入れられずに会社を去ってしまう状況でした。この繰り返しが続き、なかなかそこから脱することができなかったのが実状だったんです。

そんななか、私が抜けても問題がないと判断でき、社長にもご理解いただけたのが1993年のことでした。

そのときはもちろん「自分で会社を立ち上げたいので、辞めさせてください」と申し出ました。そして現在の会社の創業に至ります。

【続く:2/7】


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起業家物語


飛び込み営業




テレアポ営業に対して「非効率ではないか」という疑問を抱いていた私は、チューターである佐野さん(私の教育を担当するチューターで、当時のスーパー営業マン。現在、某支店の支店長を経て、大和証券本部の企画セクションに勤務)に「飛び込み営業をやらせて欲しい」とお願いしました。

その結果、一週間で150枚の名刺を集めることができたならば、それを許可するという話になったのです。

ちなみに、大和証券では毎年入社してくる新人への研修として「名刺集めコンテスト」を実施していました。ルールは一ヶ月で100枚の名刺を集めるというものです。これを達成できるのは同期でも半分程度と言われていました。

私に課せられた条件は、歴代の先輩達が経験してきたそれよりも遥かに厳しいものでした。

 

 

「5年目の代でトップ営業である高島さん(仮名)は新人時代にどうやって名刺集めをやったんだろう?」

 

渋谷支店には優秀な営業マンがたくさん集まっていました。その中の一人に高島さんという方がいました。高島さんは私と同じ「営業第三課」で、私の隣の席に座っていました。

 

「高島さんはどうやって名刺を集めたのですか?」

 

実際に成功した人にやり方を聞くのが確実だと思った私は、8時ごろに出社してきた高島さんに成功のポイントを尋ねました。

 

「おぅ、俺の場合は『財団』をまわることにしたんだよ」

 

「財団ですか?どうして財団なんですか?」

 

江戸っ子のような口調の高島さんは「そりゃ簡単な話じゃねぇか」といった顔をして答えました。

 

「そりゃな、ある意味で公務員みたいなもんだからだよ。まず、彼らに名刺をもらいにいっても自分自身への売り込みはないとわかっている。本人がそんなにお金を持っているわけではないからな。それから、財団本体の資金運用といっても、そう簡単に営業マンにお金を預けられるわけではないからね。稟議だなんだで手続が大変だから、ちょっとした売込みではどうにもならない。それを彼ら自身がよくわかっている。証券マンから営業されても彼らは精神的なプレッシャーを受けないから、逆に安心して名刺を渡せるんだ」

 

「なるほどですね。営業されて困る人たちは名刺を渡すことに抵抗感があるでしょうけど、そういった人たちなら安心して渡しても大丈夫だと考えていると」

 

「そう。あと、大和証券でも他の証券会社でも毎年のように新人たちが名刺をもらいに行っているから、財団の人たちもそういったコンテストのことをよく心得ていて協力してくれる人も多いというわけ。俺はこれで乗り切ったけどね」

 

今回は「名刺集め」が目的ですから、お客様になるかどうかを考える必要はありません。それであれば、この方法でも集められそうでした。

 

自分なりのやり方は既に決めてありました。その自分なりのやり方と高島さんのやり方を比べてしまえば、私のやり方のほうが遥かに効率がいいことがわかっていました。その自分なりのやり方は2日後の水曜日に決行するとして、今日は物は試しで高島さんが教えてくれたやり方を実行することにしました。

 

★ ★ ★ ★ ★

 

東京都港区虎ノ門。
ここにはたくさんの財団が密集しています。

 

地下鉄の虎ノ門駅から地上に出た私は、すぐ目の前に立っていたビルのエントランスに入って、入居テナントが名前を連ねる案内板を眺めました。

 

「ほんとだ。上から下までこんなに財団が入っているんだぁ」

 

各フロアにはざまざまな名称の財団が入居していたのです。

 

「上から攻めるのと下から攻めるのはどちらのほうが効率がいいのだろう?」

 

単なる名刺集めとはいえ、「飛び込み営業」の練習を兼ねているようなものでしたから、実戦を意識して取り掛かることにしました。

 

夕方の17時には支店に戻ると仮定すると持ち時間は約4時間です。11時から12時までと13時から16時までが飛び込みのできる時間帯でした。

 

「営業日が5日で150枚集めるのだから、一日あたりは30枚。とすると4時間で集めるわけだから、一枚あたりに割ける時間は8分しかないのか・・・」

 

受付から担当者を呼んでもらい、お会いして名刺交換をしたとしても、余計な話をしている暇はなさそうでした。また、財団以外への飛び込みは名刺をいただける確率が低いと判断してやめることにしました。なるべく財団がたくさん入っているビルを選び、一旦エレベーターで上の階に行ってから、順次階段で降りていくやり方で攻めることにしました。

 

「こんにちは、大和証券の”新人”の増永と申します。着任の挨拶で参りました」

 

受付に女性が座っている財団は皆無でした。ほとんどがエントランスに受付電話が置いてあるだけでした。その受話器をとって名乗る際に有効だったのが「新人」と付け加えておくことでした。おそらく、通常の飛び込み営業をする場合だと逆効果だったと思います。素人同然の新人の相手をしているほどお客様も暇ではないからです。ところが、財団の人たちは逆でした。毎年のように訪れる新人営業マンたちを待っているかのようでした。

 

「よく来たね。名刺だけ欲しいんでしょ?」

 

このように言ってくださる方は、同じ部署の方たちの名刺を集めて渡してくれることもありました。すると、一つの財団に飛び込んだだけで2〜4枚くらい稼げたのです。

 

 

実戦を意識しながら工夫したことでよかったことは、一日30枚という「目標」を自ら掲げたことでした。これにより「飛び込み」を躊躇するようなことがなくなったからです。目標を達成しようと思えば、余計なことを考えている暇はありませんでした。そして、もっといえば「期限」があったことも迷いを吹き飛ばすのに役立っていました。

別にノルマがあったわけではありません。それを達成できなかったからといって怒られるわけでもありません。一日に30枚の名刺を集めるというのはあくまで自主的な目標です。

それでも、目標や期限があったことで仕事のペースがつかみやすく、どうしようかと迷ったり、断られることを恐れたりすることがなくなりました。

私はそのおかげで、隣接するビルからビルへ、それからビルの上から下まで、片っ端から財団の受付に足を踏み入れることができました。

 

「今日は、20枚か・・・」

 

初日にしては上出来だと思いつつも、目標としていた数字には到達しませんでした。

 

「まだあと4日ある。私のアイデアを使えば2日後には集められる。とりあえず支店に帰ろう」

 

私は渋谷支店に戻りました。

 

★ ★ ★ ★ ★

 

「佐野さん、途中経過を報告します」

 

自席で忙しそうにしている佐野さんのところにいって声をかけました。

 

「どうでしたか?」

 

少しそっけない感じで尋ねられました。

 

「はい。今日は虎ノ門の財団をまわって名刺を20枚集めてきました」

 

「ふーん、それでは10枚足りないね」

 

ただそれだけでした。

 

★ ★ ★ ★ ★

 

翌日は気持ちよいほど晴れていました。しかし、それは外で飛び込み営業をする者にとっては決して喜ばしいことだとはいえませんでした。夏の終わりということで、晴れているとまだかなり暑い時期だったからです。雨が降るよりはマシですが、仕事によっては天気がよいのも考えものでした。

 

再び虎ノ門の駅を出た私は、財団での名刺集めを成功させるべく、前日とは逆方向にそびえるビル群を目指して歩を進めました。

 

「こんにちは、大和証券の新人の増永と申します。ただいま、会社の研修で『名刺集めコンテスト』を実施しておりまして、大変申し訳ございませんが名刺だけいただけませんでしょうか。名刺をいただきましたらすぐに帰りますのでよろしくお願いいたします」

 

飛び込んだ財団の受付で、私は単刀直入に本題を述べました。するとどうでしょう。明らかに株の取引や資金運用とは趣旨が異なるにもかかわらず、担当者の方がわざわざ出てきて名刺を渡してくださいました。

それらしいウソをついて会おうとするより、正直に話したほうが早いことがわかりました。そして、会っても無用な話をせずに立ち去れることが効率アップにもつながっていました。

 

「これならいける!」

 

次々と財団をまわり30枚を集めたところで16時をまわりました。

 

「一日の目標である30枚を集めたんだからいいだろう」

 

私は渋谷支店に戻って佐野さんに報告しました。

 

「駄目だな、それでは10枚足りないね」

 

またそっけなく言われてしまいました。佐野さんとしては、前日の不足分である10枚を指して足りないと口にしたのでしょう。ただ、正直なところ個人的には名刺を30枚集めただけでも褒めてもらいたかったのが本音でした。名刺集めの初日で20枚、翌日で30枚。既に合計で50枚も集めています。先輩達の代では1ヶ月で100枚集めるのがミッションで、半数の人たちが達成できませんでした。そんな課題に対して私はまじめに取り組み、2日で50枚も集めたのです。このままやっても残りの二日で100枚なら確実に達成できていたでしょう。

 

「明日で課題の150枚を達成すれば、佐野さんも少しは褒めてくれるだろう」

 

この日、名刺を30枚集めたところで渋谷支店に戻ったのも、明日の勝負で確実に達成できると踏んでいたからです。その気になれば、この日のうちに佐野さんの指摘する残りの10枚を集めることは可能でした。しかし、帰社予定として掲げていた17時までに渋谷支店に戻るためには、30枚で区切る必要がありました。

 

「だったら、私の実力を見せるしかない」

 

自分の席に戻る途中、私はそう思いました。そして、佐野さんに一つ謝らなければならないと考えていました。

 

「たとえ150枚の名刺を集めたとしても、『飛び込み営業』はやめよう」

 

もともと佐野さんから課せられていた「テレアポ営業」の非効率さを嘆き、私が「次は飛び込み営業を」と言ったのが、今回の名刺集めの発端でした。

しかし、テレアポ営業も非効率だと思いましたが、飛び込み営業はもっと非効率だとわかったのです。

飛び込み営業の問題点を列挙すると、天候に左右される、飛び込み先がどのような会社かその場では調べ辛い、肉体的に疲労する、ビルとビル或いはフロアとフロアの間に物理的な距離がある等であり、テレアポ営業であれば煩わされない問題がいくつか見えてきました。

 

「飛び込みで社長に取り次いでもらうのとテレアポで社長に取り次いでもらうのであれば、飛び込みのほうが確率は低いな」

 

アポもないのに会社まで来た人間と会うのとテレアポをしてきた人間と電話で話をするのでは、明らかに前者のほうが危険です。逆に後者であれば、電話だけで済みますので気に入らなければ受話器を置くだけで済みます。人はより安全を好むものですから、どちらのほうが取り次いでもらいやすいかは火を見るより明らかでした。

また、単にその会社の社長に会うだけであれば出社や退社を待ち伏せするのもありです。ところが、これでは一日に2回しかチャンスがありませんし、そのようなことを別の方にも続けていくことはできません。大和証券における自分の出社時間と退社時間、そして朝の会議のことも考えれば現実的ではありません。

加えて、「この人を」と狙いを定めた人だけを確実にお客様にしたい場合は使えるかもしれませんが、基本的に迷惑な行為ですし、フェアなやり方だとも感じられません。

 

「課題を達成したら飛び込み営業ではなく、別の営業手法に挑戦したほうがいいな」

 

私は150枚の名刺を集めたら佐野さんが一体どのような顔をするかを想像しました。

 

「明日は佐野さんをびっくりさせよう(笑)」

 

こうして勝負の水曜日の朝を迎えることになります。

 



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編集後記

当社ではドラマ『花嫁とパパ』の撮影が行われているのですが、それを見て今度は別のテレビ局から「連続ドラマでオフィスを使わせて欲しい」という依頼が来ました。一度使われると何度も依頼が来るということをはじめて知りました(笑)。お引き受けするかどうかはともかくとして、見学にこられた方は「いいオフィスですね」と褒めてくださいました。ちなみに、当社に「営業」に来られる方々からは「ドラマで使われていますね」とよく言われます。知名度アップなどにはつながっていることを実感しています(笑)。

当社、ライブレボリューションのオフィスはフジテレビ系列の連続ドラマ『花嫁とパパ』で使われています。主人公・宇崎愛子(石原さとみ)が勤めるアパレル企業のオフィスとして採用されました。毎週火曜日夜9時、フジテレビ系列にて放映しています。ぜひご覧ください!


毎週火曜日夜21時放送(フジテレビ)
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