● 専務の方とはそれまで面識がなかったのですか。
そうなんです、まったくの初対面でした(笑)。話をしていくうちに「それじゃあ、一緒にやりましょう」「ではお金がいりますね」と。彼は親から1,000万円借りてくることになったのですが、言いだしっぺの私は「何とかします」のひと言です。
時間が経ってもどこからもお金を借りられる目処が立たず、工事は進んでいました。焦りつつも、空回り。しかし偶然その工事を担当していただていた会社の社長さんが、仲の良い銀行の方を紹介してくださったんです。そしてぎりぎりの段階で1,000万円の融資を受けることができました。今考えてみると、本当に危ういところでしたね。
そういえば経営において恐怖感をもった覚えは、これぐらいです。もちろん無茶をしたことはありますが、あまり怖いという感覚を感じた記憶はありません。
● それでは御社の強みを教えてください。
「銀のさら」で言えば、高電場解凍機という解凍技術になります。美味しいお寿司をサービスするためには、できるだけ魚が安定供給され、いつでも鮮度が良い状態で食べられるのが重要です。そもそも冷凍ものよりも、生のほうが美味しいというのが現在でも認識としてありますよね。
通常は生の魚であれば、船から市場に出荷されて私たちの口に入るまでに、約1〜2週間かかります。
冷凍保存されたものは、マイナス60度で急速に冷凍されています。お店でその状態を完璧に復元できれば、常温保存での時間的な劣化は理論上少なくなります。
そうなってくると次に問題となるのが、解凍技術です。これは冷凍技術よりも遅れている感があったのです。
宅配寿司をやるからには、お客さまにお届けするまでにどのようなオペレーションが適切であるかを研究しました。周りのいろいろな方々に聞きながら、新しい発想を展開させていったのです。
そこで行き着いたのが、高電場解凍機という解凍技術になります。これは戦術のひとつであり、加盟店さまに説明をする際には、必ずお伝えする特徴です。
宅配寿司業界も、大手企業であれ消えてしまうことがあります。自分たちがそうならないためにも、この先こうなるであろう―そういう予測、仮説を立てて実行し、また検証するというサイクルをやってきた結果が、解凍技術でした。
繰り返しになりますが、全社で理念の共有ができているからこその結果だと思います。その部分を押さえていなければ、一時的に精度を上げられたとしても継続にはならないと思うんです。
【続く:5/8】