● それではアメリカと日本の起業家の違いなどがあれば、教えてください。
国によっての起業家の違いを、私はあまり感じません。どちらも朝から晩まで、週末も働くし、頭も良いですね。努力もしているし、アイデアもものすごくたくさん持っている。
起業家としてではなくベンチャービジネスまで視野を広げると、やはり両国の間には違いを感じます。それは「どのぐらいのスピードで、どんな手法で大きな組織を築くか」という考え方です。
アメリカでよく見られるケースは、資金が多少足りなかったり、売上が一切上がらない状態でも、100人以上の組織を作ってしまうことです。同じことを日本で置き換えてみると、リスクが大きいという先入観のもと、なかなか踏み出せませんよね。
ビジネスポテンシャルを見込む力と、売上が上がり出してからの勢い―実際に収益を生み出すまでのリスクの捉え方がまったく違います。
まずは組織を作り上げてから、売上と利益を追求する例がアメリカでは多く見受けられるわけです。強いて言うならば、同じようなタイプの日本企業は1社ぐらいしか私は思いつきませんね。
あとは大手企業のなかでの新規事業プロジェクトに対しての取り組み方にも違いを感じます。先ほどの例と同様にアメリカでは、売上を上げる前から莫大な資金をつぎ込んで大きな組織を作ってしまうのです。
そして成功して売上が上がってくるとそれとは別に、新たに先行投資で将来の見込みに対するような、営業や開発部隊をつくってしまうのです。
この組織作りのスピードが、最終的には組織規模に関連してきます。そして早い段階でのグローバル展開にまでつながっていくわけです。
● まだまだ世界を舞台とした日本のベンチャー企業が少ないのも、そういった要因があるのでしょうか。
そうかもしれませんね。アメリカと比較してみると、国内事業についても取り組み方のスピードや組織作りに対しての考え方に違いが目立ちます。
そのほかにもグローバル展開されているベンチャー企業が少ないのは、言葉や文化の問題なんかも影響しているでしょうね。
● 私が起業した頃はすでにバブル期を過ぎていたのですが、バブル期の資金繰りなどはどのようになっていたのでしょうか。
当時は1年ぐらいで15億円とかを集めて、システム開発はもちろん広告宣伝費などにお金を費やしているケースが多かったように思います。だから、組織作りには甘かったんですね。
● なるほど、組織作りにお金や時間を費やすといった雰囲気はなかったかもしれませんね。
日本のベンチャーキャピタルも、そういう方向性で指示していましたね。そうすることで、日本の起業家も安心するという流れにもなっていました。そしてできるだけ早く売上をつくらなければならない、そんな焦りもあったのではないでしょうか。
一方アメリカでは、売上が立たないことを数年のスパンで見込んでいるのです。プロフィットがでない時期を、最初から長く見ているわけです。ただし、売れ始めたときにはトップバッターに立てるぐらいの組織を事前に用意しておきます。そういう考えのもと、立ち上げピッチが、日本とはまるっきり違います。
たとえば日本では投資先企業で、売上が1億円前後の横ばい状態が2,3年続いたところで、ようやく利益が出始めたとします。すると「黒字になった、もうこの会社は確実だ」と、そこがゴールのようになってしまうことがあります。
でもここで安心してしまってはいけないんですね、特に私たちのような会社は。
たとえプロフィットが出なくても、売上が倍増でマージンもなんとか伸びていれば、必ずプロフィットがついてくるのです。
【続く:4/8】