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2007年2月16日 vol.520  
Today's President

株式会社アイレップ
代表取締役 高山 雅行 氏

会社としての存在意義を伝える

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プレジデントインタビュー

会社としての存在意義を伝える


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【増永】 御社の経営哲学も、今のお話に通じるかと思いますが。

そうですね、「IREP WAY」という経営理念があります。そのなかの「アイレップ・スピリット」―「壊す側に回れ」という内容があるんです。要は先ほどのお話のように、既存のビジネスに対して黒船的なものが出現した際、従来のものを守る側に回るのではなくて、むしろ壊す側に回れということです。

つまりはクライアント側に立って、どちらかの判断をしていかなければならない。そう思います。

● 業界の変革におけるひとつの決断が、現在の成長に繋がっているわけですね。

はい、他業界に比べて特に変化の激しい業界だと思うので、きちんと状況を見極めて適応していかなければならないですよね。

キーワード広告から検索連動型広告に移ったときもそうですし、さらに以前にも事業撤退を行なったことがあるんです。当時の会社にとってかなりボリュームのあった事業だったのですが、それを止めてキーワード広告に懸けるという時期がありました。

リスクも伴いますが、全体の収益で大きくウェイトを占めているものであっても、クライアント側に立ってメリットがあるものなら、乗り換える決断をすることが重要です。

● それではこれまでの経営で、高山社長が苦労されたことはどのようなことですか。

会社に貢献してくれている優秀な人たちが辞めてしまうことを何度か経験したので、そういう意味では人の苦労をしていますね。

以前に会社の成長戦略のひとつとして、「起業志願者限定採用」というのを行なったことがあるんです。どういう内容かと申しますと、将来的に起業を考えている人―漠然としてではなく、リアルにしかも2年ぐらいのスパンで考えている人に限定して募集をかけたのです。

当時、インターネット広告としてはアイレップは後発部隊でした。他社さんはすでに急成長をされていたので、「成長企業で働きたい人・将来的に独立したい人募集!」という普通のアピールではなかなか私たちは選ばれません。

じゃあ、もうちょっととんがった人を狙おうということで、本気で起業を考えている、さらに2年ぐらいを目標に計画を立てている人にターゲットを絞ったのです。そういう人にとっては、まだ数名規模の当社で働くことは、擬似起業体験となる。すでにある程度の規模になっていた先発他社より、刺さるのではないか、と。

この結果、一騎当千のつわものたちが集まってきたんですよ。これがアイレップの成長スピードを加速させましたね。

しかし彼らは、見事に2年経ったら会社を辞めていきました(笑)。ですから逆に言うと、優秀な彼らが抜けていったことでマイナス面もあったのです。でも彼らがつくった土台は残ったし、後に残った人材がなにくそと踏ん張り、結果としては右肩上がりの成長軌道を描くことができた。この時期に経営者として学んだことは数多くありますね。



 
 
President
 

一騎当千のつわものたちが集まってきたんですよ。これがアイレップの成長スピードを加速させましたね。



● その後、御社では優秀な人材を採用するにあたり、どのようなメッセージを送っているのでしょうか。

昔からやっていることになりますが、事業の成長性と同時に事業の意義、会社としての存在意義を伝えるようにしています。

ほかの経営者の方々、特にIT経営者について顕著に見られるのが、会社や事業の成長を語る方です。これはもちろん大切なことですが、それ以上に自分たちのやっている事業がどんなことに役立ち、社会をどのように変えようとしているのか・・・その辺りのメッセージをできるかぎり発信しようと考えています。

実際に自分が人材ビジネスの世界で働いていた時で言うと、普段はルーティン的に仕事をしていてなかなか社会的意義を実感できるということはないんですよ。

ただ仕事を通して人の転職をサポートすることにより、その人が自己実現して輝くことができる―結果、企業も中途採用の成功により、成長をより加速させられます。これって企業と人の、ある種自己実現を支援するという素晴らしい意義があるんですよね。こうした意義を自分なりに見出すことができたので、辛くても仕事をやってこれたというのがあります。

そう考えると現在のアイレップが行なっている事業、たとえばSEMは、企業とユーザのWin―Winを成立させる素晴らしく意義のあるマーケティング手法だと思うんです。

● 従来のマーケティング手法は、どのようなものだったのでしょうか。

供給者がユーザへ一方的にメッセージを発信する、intrusiveな手法でした。しかし現在、ユーザが検索をすればそれにマッチした広告情報を受け取れるようなマーケティング手法が出てきたわけです。これはある種のマーケティング革命であると、私は思っています。

オーバーチュアやグーグルという会社が作ったSEMのプラットホームがあります。私たちはそのプラットホームを活かして可能性を引き出し、このマーケティング手法を拡げ、かつ深めていく役割を担っています。そしてマーケティングに革命を起こしていくのです。

【続く:5/9】


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起業家物語


朝の習慣




大和証券で社会人生活をスタートした私の朝は、学生時代の朝とはまるっきり違っていました。

学生時代はというと、それこそお昼過ぎに起きたり、ヘタをすると夕方に起きたりしていました。もちろん、大学院時代で講義を受けていた時期はきちんと起きていました。しかし、単位をとり終えて修士論文を書く頃になると、どこにでもいるような学生の生活スタイルに落ちぶれていました。そんな私が、大和証券に入社してからというもの、早朝の5時30分に起床するようになったわけです。

早朝特有の張りつめた空気の中、私はいつも眠たい目をこすりながら洗面所に向かいます。実は、大和証券清瀬寮の共同洗面所はお湯が出ません。寝癖を直すのも顔を洗うのもすべて冷水となります。これが寒い時期だとあまりの冷たさに凍えてしまうでしょう。ある意味、冷水のおかげで目が覚めるといっても、これを快適な朝だとはとてもじゃないですがいえませんでした。

 

顔を洗い、部屋に戻って外出の支度を済ませると、次は朝食でした。流石は証券会社の寮、早朝にもかかわらず既に温かい朝食が用意されていました。

私は、寮に住んでいる社員のなかでも朝は早いほうでしたが、先に食事に箸をつけている先輩達の姿がありました。皆、味噌汁をすすりながらテレビのニュースを真剣に見ています。

同様に、私もテレビの近くに陣取ってニュースを見ていました。そして、他の社員の方たちとは別の行動を一つだけとっていました。それは、「テレビ画面の下に出てくる『今日の運勢』というテロップが目に入らないよう、手で画面下部を隠しながら食事をとる」というものです。

 

そのような人はあまりいないのではないかと思いますが、私はテレビで運勢や占いの番組が放送されるとチャンネルを変えます。その日の気分を占い等で左右されたくないからです。昔、大学生時代に『Tokyo Walker(東京ウォーカー)』に掲載されていた「ホロスコープ(占い)」のページに「クルマに乗る際は気をつけましょう」と書かれていたのを目にし、その一週間後に事故を起こしたことがありました。その事故のために、私の愛車であるシルビア(愛称、シルビーちゃん)の甘いマスクがぺしゃんこになってしまったのです。それ以来、占いの類は私のトラウマ以外の何ものでもありませんでした。

 

食事を済ませると玄関で靴を軽く磨いてから外へ。

 

寮は「清瀬ゴルフセンター」と細い道を一本挟んだまん前にありました。その細い道に出てから左手方向に歩き、清瀬ゴルフセンターの壁伝いに道を右に折れると2分ほどで「中里」という名のバス停に到着します。

研修が始まった当初は、ここで同期と会うことなどありませんでした。ところが、しばらくするとまじめな同期が姿を現し、一緒にバスを待つようになりました。このバス停から普段の研修場所となる池袋支店まで一緒に通うことで、お互いに情報交換が出来るようになります。これはとても有意義なもので、初めてとなるバス通勤は案外よいものとなりました。

 

清瀬駅南口のロータリーでバスを降り、清瀬駅から西武池袋線に乗って池袋方面へ。6時台前半にもかかわらず座ることは出来ませんでした。これが所沢寮に住んでいた同期なら座ることが出来ました。なぜならば、ほとんどの電車が所沢発だったからです。早朝にもかかわらず、ゆっくりと座って出勤することが出来なかったのは残念でしたが、満員電車のようなラッシュではなかったので、電車通勤についてもほとんど苦にはなりませんでした。

 

ところで、大和証券に入社してから研修で教えられたことの一つに「電車の中での新聞の読み方」というのがあります。

証券マンであれば「日本経済新聞(以下、日経新聞)」を読むことは、嗜み(たしなみ)といってよいでしょう。しかもそれは、会社に出社してから読むのではなく、会社に出社する前に読み終えておくのが流儀です。

大概の証券マンは電車で通勤しています。この電車通勤の時間を有効に使うための手段が日経新聞を読むことです。

朝もしくは休日にお父さんが新聞を読んでいる姿を想像してみてください。ドンと新聞を両手で広げていませんか?

ところが、電車の中ではそのような読み方はなかなか出来ません。空いているならともかくとして、周りの乗客の迷惑になるからです。これが満員電車で立っている場合であれば、まずそのような読み方は不可能でしょう。

 

これに対して、私たちは研修で次のように教わりました。

「まず一面が表側にくるよう新聞を縦に半分に折る。縦に細くすることで、密集した満員電車の中でも周りの人の邪魔にならない。また、片手でつり革をつかみ、もう一方の手で新聞を持つことも出来る。最初に一面の右半分(トップの見出しがあるところ)を読み、くるりと新聞を回して、裏側になっていた一面の左半分を読む。それを読み終えるとページをめくるわけだが、めくったページをそのまま折り返す。そうするとまた縦長の状態を維持出来る。こうすると2面の右半分が表側にくる。これを読み終わったらページを再びめくって同様にそのまま折り返す。これで縦長の状態を維持したまま2面の左半分を読むことが出来る。これらの動作を繰り返していく」

 

私は社会人になるまで電車の中で新聞を読むことなどほとんどありませんでした。この新聞の読み方を教わったときはとても勉強になったと感激しました。今から思えば、研修の時期に一般教養的なことを数多く教えていただいたんだなと実感します。

ちなみに、社会人としての基本中の基本と言われているものに「ほうれんそう」があります。これは「報告、連絡、相談」の略です。語呂のセンスはともかくとして、仕事を進める上で念頭に置くべき重要なものといえるでしょう。

 

先日、入社間近の内定者(学生)の一人がインターンとして出社していましたので、簡単な仕事をお願いしました。

 

「申し訳ありませんが、この書類を近所の郵便局に行って書留速達で送ってきていただけませんか。期限は午前中でお願いします」

 

これは、あまりにも簡単な仕事でしたので、任せた私もおやつの時間まで忘れていました。

 

「あ、そういえばあの書類はちゃんと送ってくれましたか?」

 

書類のことを不意に思い出した私は内定者の方に確認しました。

 

「はい、ちゃんと出しておきました」

 

その笑顔を見たとき「基本的なことを教育していなかった」と思いました。

 

本来であれば、頼まれた仕事を完了した時点で依頼主に報告をしなければなりません。それは口頭でもよいでしょうし、メモやメールでもよいでしょう。私ならばメールで報告します。理由は証拠(具体的な報告事項だけでなく、メールを送信した日時も残るのが利点です)が残るからです。

 

「仕事は報告するまで完了したことにはならないんだ!」

 

このように教えられた私は、それ以降、仕事が完了した時点で依頼主に報告するようにしています。せっかく早く仕事を終わらせたにもかかわらず、報告が遅れてしまったことで「仕事が遅い」と思われてしまうのはもったいないからです。

例えば、今回の書類を郵送する件に当てはめてみましょう。

もし、私がその書類を午前中に送ってもらわなければ物凄く困るとします。そう状態ですと、実際に「送った」という報告がくるまで不安で不安でなりません。これが、正午になっても報告がないとするといかがでしょうか。おそらく、いても立ってもいられなくなるでしょう。

厳しい期限が設けられている場合は、その期限が過ぎるまでに報告しなければなりません。これは、たとえ仕事を期限までに終わらせていたとしても報告が遅ければ依頼主に心配をかけるからです。

 

私の経験則では、報告をきちんとできない人に「仕事が出来る」という人はいません。逆に言えば、仕事が出来る人というのは期限までに仕事を終わらせて、期限までにきちんと報告してきます。

報告をしてこないということは「成果」を依頼主に見せられない人、あるいは見せていない人です。そのような人を誰が「仕事が出来る人」と考えるのでしょうか。成果がなければ、評価のしようもないではありませんか。

 

また、報告をしてこない人にありがちなのは「はい、わかりました」と簡単に仕事を請け負っておいて、後から「出来ましたか?」と聞くと「忘れていました」か「まだやっていません」と答えることです。報告をしてこない人には責任感がありません。

いつも報告をしてこないので、依頼主は「もう手をつけていますか?」「いつになったら終わりますか?」と逐一確認しなければなりません。これでは仕事を任せることなどできなくなるでしょう。

 

プロフェッショナルであれば、依頼主に期限を過ぎてから「出来ましたか?」と確認されるようでは失格です。そうならないように会社は新人を教育する必要があるでしょう。

 

「報告」以外にも「連絡」と「相談」があるわけですが、実際にはそれらを厳密に区別して使うというよりは、この三つのうちのどれかを同時に組み合わせるのがほとんどです。先ほどの例で言えば、「郵便局に行って書類を出してきました」というのは「報告」と「連絡」が組み合わさっているといえます。

「ほうれんそう」が必要になる主な要因は以下となります。

  1. 仕事を達成したとき(先ほど挙げたもの)
  2. 仕事の達成が困難なとき
  3. 仕事が期日に間に合わないとき
  4. 状況、環境、前提条件等が変化したとき
  5. 判断に迷う、或いはわからないとき
  6. 新しい情報を入手したとき
  7. 依頼された内容と実行する内容に乖離がみられたとき
  8. 依頼された内容と異なることを実行するとき
  9. 長期に渡る仕事や極めて重要な仕事等で途中経過を知らせる必要があると思われるとき

 

依頼主から仕事を引き受けた場合は、約束したその依頼内容を自らの判断で変更することは許されません(約束していない事項については、依頼主は相手に任せたと考えられる場合も有ります)。変更が必要な場合は、必ず依頼主に対して事前に相談するようにしましょう。

また、仕事を引き受けた人は、依頼主に対して結果を報告しなければなりません(報告が義務ではないものであっても、報告できるものや報告したほうがよいものは、報告をするほうが無難でしょう)。先ほども書いたように、依頼主を不安にさせてはいけませんし、引き受けたことに対してきちんと実施したという報告をしなければ、正当な評価を得ることはできません。報告は極めて重要だと思います。

 

「ほうれんそう」といえば、以前は「上司に対するもの」というイメージでした。ところが、今では組織がフラット化しているのに加え、チームで分業して仕事をすることが多くなったため、その重要性はますます高まっています。プロフェッショナルであれば誰でも意識するべき基本事項―されど「報告」「連絡」「相談」を怠れば、仲間や顧客からの信頼が失われるわけで、常日頃からこれらを意識するようにしてください。

 

★ ★ ★ ★ ★

 

池袋駅の改札を出てからの道中は、都会の負の面を映し出したかのような光景が広がっていました。

午前6時台というのは、池袋といえども人気(ひとけ)はまばらです。そのかわりに群れているのが真っ黒で大きなカラスたちです。「一体どこから来たのか」と不思議になるほどたくさんのカラスたちが集まっていました。

おそらく、深夜営業を終えた飲食店が出すゴミを目当てにしているのでしょう。明るくなり、人があふれかえる前の時間帯に、恐るべき数のカラスたちが飛び回っています。

 

そんな群れの中を歩いていると、空中から糞が落ちてきたり、翼を広げた大きなカラスが飛来してきたりします。そういったものを避けながら8分ほどでたどり着くのが、新人の研修場所となっている池袋支店です。

 

たいていは、私が一番乗りでした。従いまして、従業員通用口の鍵は閉まっています。この従業員通用口の前で、折りたたんで細長くした日経新聞を読みながら待つのが常でした。

しばらくすると支店の管理部門の方が出社してきます。その方に鍵をあけてもらって中に入り、エレベーターで7階まで上がります。ところが、7階の研修室のドアにも鍵がかかっているため入れません。ここでまたまた日経新聞を読みながら待つことになります。そうすると日経新聞も2度目・3度目と読み返した状態になっていますので、研修室の中に入る頃には、重要な情報がきちんと頭の中で整理されていました。

 

時に、鍵を持っているインストラクターが遅れてしまうと、まじめな同期たちが次から次へとやってきます。そんな同期たちとの会話も当時の私には刺激になっていました。

 

★ ★ ★ ★ ★

 

私は「朝一番」に出社することを「社長になるための戦略」として位置づけ、実践していました。

当時の私の目標は、出世して大和証券の社長になることでした。そして、大和証券を辞めるまで、この「朝一出社」を続けていました。

起業して社長になってからは、朝一番に出社することにはこだわっていませんが、それでも社内で1、2を争うほど早く出社しています(といってもめちゃくちゃ早くにきているわけではありませんが)。朝一番或いは早朝に出社することには大きなメリットがあるからです。

大和証券時代、私は「朝一出社」という習慣を徹底して実践するために、裏である工夫をしていました。その工夫とは「上司や同期との飲みに付き合わない」ということです。

一般的に、朝早く起きるために必要とされるものは「早く寝る」ということです。しかし、わかっていてもなかなか早く布団に入ることが出来ない人が多いのではないでしょうか。これを妨げる原因として挙げられるものの一つが「夜の付き合い」でしょう。

証券会社に入社すると「証券外務員2種」という資格を取らなければなりません。そのためには試験を受ける必要があり、そのための勉強も必要になります。

18時に退社してすぐに寮に帰れば、十分に試験の勉強時間を確保することが出来ます。ところが、同期たちの多くは、会社が終わると飲むために池袋の街へと繰り出していきました。その分だけ勉強時間が削られるか睡眠時間が削られることになるのですが。

 

私はそのロスをもったいないと思っていましたので、極力夜の付き合いを控えたわけです。18時過ぎに会社を出て、20時前には寮につき、食事と入浴を済ませてから12時くらいまで勉強に集中します。布団に入るのは25時前後で、翌朝は5時30分に起床・・・。特段のイベントがない限りは、こういったスケジュールで毎日が過ぎていきました。25歳当時の私にとってはこれくらいの睡眠時間で十分でした。25時でもむしろ早めに寝ていたという感じです。

 

「朝一出社」は別に嫌々やっていたわけではありません。楽しくやっていました。周りの同期たちは、ゆっくり出社したり、勉強をさぼったり、合コンをしたりして遊んでいました。その分だけ差を広げることが出来ました。 当時は「出世競争に勝たなければならない」というミッションがあったため、その為にやることは何でも楽しく取り組んでいました。

 

ここで「朝一出社」のメリットの中でも特にわかりやすいものを三つほど紹介しておきましょう。

一つ目は「キーマン」からの覚えが良くなることです。「キーマン」といえる人は環境によっても変わると思いますが、例えばそれが社長であったり、部長であったり、出来る上司であったりします。彼らは得てして早朝に出社します。ダメな人、ダメな社員は早朝には出てきません。「社長」といえども典型的なダメ社長であれば、社員の出社時刻よりも遅れて出てくるものです。

新人は、こういった「キーマン」から顔と名前を覚えてもらうことはなかなか困難です。しかし、社内に人がまばらな時間帯にコミュニケーションを図れば、そのハンデを克服することが可能です。出世する確率を高めたければ、「朝一出社」を心がけ、「キーマン」たちと仲良くなるとよいでしょう。

 

二つ目のメリットは「信頼」が高まることです。少なくとも「電車が遅れまして」というそれが正当なる電車の遅延であっても「遅刻は遅刻」というありがちな失態で信頼を失うようなことは起りません。いるべき時間に「常にいる」ということは、それだけでも「堅実さ」を感じさせ「信頼」に値します。ところが、「常に一番にいる」という場合は、周りの人から見れば「自分よりも出来る人」「とっても誠実な人」という印象を与えます。「朝一出社」を徹底することでどんどん信頼が増していきます。また、「朝一出社」を徹底できる人のほとんどは時間にも敏感であるため「仕事を早く片付ける」というスタンスを持ち合わせています。「常に一番にいる」ということと仕事が早いことが合わされば、これらが相乗効果を発揮して、「信頼」も高まっていくことになります。

 

最後の三つ目としては「仕事が出来る」ようになります。早朝というのは深夜よりも仕事がはかどります。深夜は終電が気になるかもしれませんし、そもそも眠いものです。お客様や連携している部署も深夜まで仕事をしているようであれば、電話も意外とかかってきます。ちなみに仕事中の電話は集中力を切らせる大きな原因の一つです。

ところが、早朝というのは眠気もなく、終電の心配もなく、電話がかかってくることもほとんどありません。こんなに仕事がはかどる時間帯はありません。仕事がはかどる分だけ成果も上がります。

後に私は渋谷支店へ配属されることになるのですが、配属後も「朝一出社」を徹底しました。実務についてからのメリットの一つは、海外のマーケット情報を収集したり分析したりする時間ができたことです。こういった情報に朝一で触れることは、少なくとも周りの人間より先に情報を利用することができます。これは大きな競争優位です。 情報化が進んでいるにもかかわらず、それを利用する側の人間がゆっくりしていたのでは、あまり意味がありません。この点を理解していない人間が多いのが不思議です。

「朝一出社」はライバルよりも早く情報を収集し活用することが出来ます。また、当たり前のことですが、その日の仕事を周到に準備することができます。その結果として、仕事が出来る人間になれるわけです。

 

「早起きは三文の得」とはよく言われることですが、この経済効果は三文どころでは済みません(笑)。更に、これを毎日毎日続けるということは「塵も積もれば山となる」という諺(ことわざ)のニュアンスを遥かに超えたものとなるでしょう。やがて、これを続けた人間が成功することは火を見るより明らかです。

 

ここで記したことの一つ一つが、私の「朝の習慣」になってゆきました。そして、私は社会人として成長してゆきます。

 

 

私たちのインストラクターがやってきて、研修室の鍵を開けました。まだ、大和証券の研修は始まったばかりです。

 



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