【増永】 世界で見ても、日本はSNS等での情報量が多いという事実が、現在の仕事に結びついていったということですか。
そうですね、もちろん世界的に見ていけばアメリカが多いのですが、それに次いで日本も多い。コンピュータ上で1文字を表記するのに2バイトを要する言葉を使う国の中では、世界でトップではないでしょうか。
日本と英語で大きく異なる点は、単語の区切れの有無です。英語は単語で切れますが、日本語や中国語、韓国語の場合、どこまでが単語で名詞になるのか細かに見ていくと分かりづらいんですよね。
欧米の企業が日本を含むアジアに本格進出できない理由も、実はそういう言葉の1バイトと2バイトの壁が影響しているようにも感じます。2バイト系のソーシャルメディアを通したモデルであれば、世界でも通用する、さらには勝てるのではないか・・・そう思ったんです。こうしたことを10年ほど前に感じ、8年ほど前からグローバル展開を意識した形でビジネスモデルを作ってきました。
今から5年ほど前の話になりますが、慶応大学でネットメディアの未来について語る講演をしている、橋本という人間に出会ったのです。彼は私の持っていないところを持っている、私と相反するところがある。一緒にやっていけば、面白いことができるのではないか・・・そう感じて、彼に「ネットをとおして商品が売れるようなきっかけをつくる仕組み・ビジネスモデルをつくろう」と声をかけたんです。
そして、先ほどの白雪の詩の話もしたんですね。「こうした事例をもっと他のメディアで実現できれば、もっとすごい時代が作れるよ、一緒にやろう」と口説きました(笑)。
もともとデータセクションという会社は、橋本が代表となり立ち上げられた会社で、当初は請負案件で利益を出していました。そこをモデルチェンジして、会社として変わろう、その変わるきっかけになろうと口説き続けたんです。それで、前職時代にデータセクションと業務提携を結んだのが初めだったのです。
その後、新しい会社を立ち上げようと準備をしていたのですが、橋本が「別に新しい会社を作らなくても、データセクションで一緒にやろうよ」と言ってくれ、さらに「澤さんがMBOをしてこの会社の株を好きなだけ買ってくれていいよ」と。
私への信頼そして可能性を信じてくれたおかげで、私が2009年7月1日に筆頭株主となり、データセクションの代表として就任しました。現在、橋本は取締役会長として共に頑張っています。
● では、現在の事業内容を教えてください。
主要事業は、ソーシャルメディア分析事業となります。
ソーシャルメディアの情報を1日あたり約6,000万件から7,000万件集めて、これらの情報を企業さんに対してSaaS型のツールとして提供しています。膨大な量をかき集め、それらを分析することで、商品の流行などを掴めるようなきっかけになるんです。こうした情報を必要としている企業さんは、たくさんいますから。
そしてこれらの膨大なデータを基にして、情報分析を含めたソーシャルメディアのリサーチ・コンサルティングも提供しています。
2013年の4月2日には、ソーシャルメディアのリサーチ・コンサルティング部門を独立したソリッドインテリジェンス株式会社という会社を前職時代一緒に働いていました林健人(データセクション取締役兼任)を社長に据え設立いたしました。これは、アンケートをリサーチする会社はたくさんあるのですが、ソーシャルメディアをリサーチする会社はまだほぼない。このことからビジネスチャンスを感じ設立することとなりました。
私たちはOEMでシステムを提供しておりますが、これらSaaS型のツールをさらに「自社向けにカスタマイズしてほしい、デザインを変えてほしい、持っているデータソースを追加して自社サービスを早急に立ち上げたい」等の各社の要望があるので、それに応える形でセミオーダー型の開発も行なっているんです。
直近では、先日5月5日の日経新聞の7面で大きく取り扱っていただきましたが、「選挙ウォッチャー」という、政党・政治家のソーシャルでの声と、国民の世論の声とを客観的に見ることができるポータルサービスを立ち上げました。
ネット選挙が解禁されることで政治家はネット上での発言に、より責任をもたないといけないし、国民の世論をネットから吸い上げないといけません。また一方で、国民は世論の声、政治家の声を生でたくさん理解できるきっかけにもなるわけです。
そういったところから、政策に対する議論がより成熟化され、日本が良い方向に進むきっかけになるのではないかと思っています。
こうした意義を考慮し、利益度外視でサービス提供を始めました。リリース後、テレビ局からも取材が来るなど、たくさんのメディアから問い合わせがありビックリしています。でも、それだけ注目していただけ、期待されているのだと実感しているんです。
● なるほど、では情報分析といったところで、何か事例がありましたら教えてください。
たとえば過去に、「人はどういうときに、プリンを食べたくなるのか」を分析したいという声があったんです。
プリンを食べたくなるときって、どういうときか想像できますか?こうしたオーダーがあったとき、さまざまなソーシャルメディアを分析していくのですが、調べていく中で「風邪」というキーワードが出てきたんですよ。風邪とプリンって、なかなか結びつかないですよね(笑)。
「子どもの頃、風邪をひいたときに親がプリンを出してくれた」という思い出話について、ネット上でコメントやつぶやきがあったりしたんです。こうした経緯から、誰も想像できなかったような情報を知ることができ、思いもよらない結果にたどり着きました。これがポイントになります。
分析をするときは仮説を立てて、そこから発展して「こういうものだ」と結論づける、そんな思い込みがあったりするのですが、実はもっと見えていない事実にたどりつくこともある。それをプロモーションにつなげることができます。
今の話でいけば、たとえば薬局で風邪薬の横にプリンを置いてもいいじゃないですか(笑)。顕在化されていないニーズに応えることができる、そんなチャンスになるのです。
ソーシャルメディアを通じた効果測定を行なうことで、潜在的なニーズにたどり着き、今まで知らなかったことを発見することができるのです。
【続く:2/5】