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【増永】 経営理念を作られたという話が出ましたが、どのように作られたのですか。
まず社員を集めて、「理念をつくりたい」と言ったんです。そうしたら、何を言い出しているんだ、社長は・・・という感じでしたよ(笑)。
少し話がそれますが、社名「サムシングファン」は日本語で「何か楽しいこと」を意味しています。私自身、高杉晋作のことが好きなのですが、彼は「おもしろきこともなき世をおもしろく」という辞世の句を残しているんですね。
この言葉を私なりに解釈すると、「主体性のない人生は楽しくない」と。人生の楽しさを見出せるような会社にしたい―そうした思いを込めた、社名なんです。
これについては、社員のみんなも思いを汲んでくれていて、共感してくれています。だから思いは社名で十分ではないですか、と(笑)。今さら理念をつくる意義を、なかなか理解してもらえませんでした。
一方私のほうは、盛和塾の影響もあり公共的な理念をつくるべきだと感じていたんです。ここの溝を埋めるのが、なかなか難しくて・・・各所から突っ込みを受けて、反発も多かったんですよ。でも話し合いを繰り返すうちに、社員たちも「社長は、本気でやろうとしているんだ」と少しずつ伝わっていきました。それからは、いろいろなアイディアが集まり始め、最終的に経営理念として形が出来上がったのです。
この経営理念をつくる過程の会議を「理念会議」としていたのですが、完成後は「プロジェクト会議」という名称に変更して、1ヶ月に1回、部署ごとに理念を遂行するための手段や目的の明確な設定、そしてそれらの進捗をきちんと確認する会議を定期的に行ないました。
また、この経営理念を実際に自分たちの業務に落とし込んだとき、どういう形で活用されているのかを部署ごとに確認できるような仕組みも出来上がったのです。
あとは言語化作業を進めました。たとえば「売上を上げよう、利益をつくろう」など、普段社内で何気なく使われている言葉でも、経営者である私と社員とでは、言葉の定義が微妙に違ったりするじゃないですか。
それではいつまでたっても同じ方向に進むことはできません。実際にプロジェクト会議の途中も、共通言語として成り立っていないままに言葉が飛び交い、なんとなくそれが個々に伝わっていないときがあったりしました。
そうしたズレをなくすためにも、徹底的に言葉に意味を定義づけて、共通言語をつくる―「言語化会議」というのをスタートし、「サム語辞典」を作っていったのです。
● 面白い取組みですね。その他にも、御社独自の取組みなどあればぜひ教えてください。
評価制度でしょうか。言葉は悪いですが・・・従来は私が勝手に社員を評価していたんですね。だけどこれでは透明性もありませんし、正直私自身も分からなくなってきているところもありました。
そこで全面的に変更したんです。評価制度の前に、基本給についての説明となりますが・・・基本給のことを当社では、「生活保障給」と呼んでいるのですが、新入社員には給与についてこう説明しています。
「当社に入社すれば生活保障給がこれだけある。そして毎年4月には5,000円ずつ昇給額がプラスされる。それは10年間続き、最終的には生活保障給に5万円がプラスオンされる。会社が潰れないかぎり、たとえ債務超過に陥ったとしても最後まで支払い続けます」と社員に約束しているのです。
だから会社から社員へのお願いとして、この範囲内で生活設計を考えてほしいということになります。
そしてオプションとして役職給等があり、さらに評価給をプラスすることにしたのです。3ヶ月に1度、財務のコンサルタントの方にきていただいているんですね。そこで、経常利益が18%を割り込まないレベルで、今後の投資計画や予算計画に照らし合わせて原資を設定いただくところまでお願いしています。
その原資を、各部署で奪い合う(笑)という会議・・・利益配分会議というのを開いているんです。
そして部署内での個々の査定をしていきます。会社側が与えた評価の内容、たとえば経営理念を体現するような働きをしているか、定時退社ができているか、または休暇を適宜取得しているかなどとあわせて、さらに部署ごとに決められている評価ポイントを合わせて12個の評価軸から行なうのです。
査定自体は、マネージャーと本人との面談で行なわれるのですが、本人が納得いくまで評価のポイントをつけていくんです。そして部署全体で評価ポイントの平均を出し、それが部署の持ちポイントとなります。これをベースに、先ほどの原資をシェアしていくのです。
当然、マネージャーは自分の部署のポイントを上げたいじゃないですか。そのために、部下の教育に力を入れるようになる。ここをもう少し頑張れば、評価ポイントも高くなるよ―そんな具体的な指導をすることで、本人も改善すべき点がわかります。
ポイントがかかってくると、他の部署からの目も厳しくなるんですね。よって、所属部署と他部署からのダブルチェックを受けながら、最終的に部署の評価ポイントが決まってきます。そうして、評価給となるわけです。
【続く:4/5】
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