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【増永】 立ち上げ後、仕事も順調に進まれたということですが、あわせて資金繰りもスムーズにいかれたのでしょうか。
合計1億8,000万円ほどの投資を受けることができていましたし、仕事のオファーもたくさんあったので順調でした。大手にも負けず連戦連勝、飛ぶ鳥を落とす勢い・・・まさにそんな感じでした。
● その後、大きな事件があったそうですが。
ハッカーに狙われ、システムのセキュリティを破られました。もちろん自分たちとしても、何もしていなかったわけではありません。むしろ、当時どのサイトよりもセキュリティレベルは強化していたぐらいです。しかしながら、悔しいことに相手のほうが上手でした。しかも、防御策もあったのですが少し出遅れたこともあり、結果破られてしまったわけです。どういう理由であれ、スーパー様には非常に申し訳ない結果となりました。
そのけじめとして、会社をクローズすることを決断しました。
● それしか道が残されていなかったのでしょうか。
正直、会社を残すことはできたと思います。お取引先であるスーパー様との契約にそって賠償責任を負っても、法的に争えば余力を残すこともできました。しかし、お世話になったスーパー様に対して誠意をもってけじめをつけたいという思いから、会社を清算することにしました。
お客さまであるスーパー様には非常にお世話になっているので、きちんと責任を示すべきだと。そこで、自分たちでできることはしっかり最後までやらせていただき、丁寧に可能なかぎり返していこう。そういう方針に立て直して、会社を清算させていただきました。
● 非常に勇気のある決断だったかと思いますが、その次のことなどは考えていらっしゃったのですか。
次の事は何も考えられない状況でした。実際、NEO BEATの創業時メンバーたちにまずは、「他の就職先を探してくれ」と頼んだんです。そうしたら、「もし社長が何か別のことをやるのであれば、自分たちは待っていますから言ってくださいね」と言ってくれたんです。
彼らの中にはすでに大手企業への再就職が決まっていた人もいたのに、そこを断るとまで言ってくれて・・・給料も待遇にも恵まれた条件であるにも関わらずですよ。そこまでして心を決めてくれているのなら、と思い「給料は払えないので就職が決まったら仕方ないが、もう少しだけ待って欲しい」と。正直、2ヶ月は給与を支払えないけど、そこは我慢してもらえるかなというところが再スタートでした。
彼らは私にとっては、家族のような存在だったのです。NEO BEATで出会った頃は、みんな独身だったけど、月日が経って結婚して子どもができて・・・それはまるで、自分たちの家族が増えているような感覚でした。そんな絆を感じるメンバーだったので、そこまで信頼や期待をかけてくれているのなら、もう一度みんなで頑張っていきたいと思ったのです。
さらに、社員だけでなくNEO BEATのシステムファンという人たちもたくさんいて、「今回大問題が起きたけれども、とはいえシステム自体はとても素晴らしい」という声をたくさんいただきました。セキュリティ面をクリアできれば、問題はないと。
セキュリティについては、当時の専門会社にきちんとコンサルに入っていただき、解決に向けて対処しました。そこで、不安要素を省いた状態で再度このシステムを購入してくれるところを探したんです。そうして得ることのできるお金を、スーパー様への返金に充てることができる。誰にとってもプラスの形で、サイバーリンクス様とジーワン様に合計4,000万円の出資をいただき現在のHINTOという会社を2011年に立ち上げました。
● 立ち上げメンバーの方は何人くらいになるのですか。
自分を含めて3人ですが、彼らはそれぞれ非常に能力が高く、Webでのプロモーションや開発等に長けているメンバーでした。この2人がいれば、何でもできる―それが正直な感想だったくらいです。だからこそ、彼らと再出発したいという覚悟ができました。
会社を立ち上げることが決まった頃、さらにジーワン様から「空いているオフィスがあるから、しばらくはそこを使っていいよ」と、声をかけていただけたのです。実際にオフィスの場所については困っていたので、非常にありがたい言葉でした。しかも、賃貸料はお金というよりも、技術で返してくれたらいいよ―とまで言ってくださったのです。ということで、オフィスの箱もデスクもパソコンも、そして仕事までワンセットで用意していただき大変感謝しております。
必要なものはすべて揃った状態でしたので、すぐに会社を立ち上げることができたんです。幸いなことに4,000万円の出資とシステムの購入、そしてオフィスや仕事までチャンスをいただけました。
恵まれた環境の中、数ヶ月運営した後、大手の物流会社さんにお声がけいただきました。私たちが扱うようなシステムをずっと探していたと。しかもNEO BEAT時代のシステムについてもご認識いただいており、ずっと私たちを探されていたというんです。
ようやく探し出したのがHINTOであり、さらにセキュリティ面については当時よりも優れていると。投資をしてくださったサイバーリンクス様は、もともとスーパーの基幹系を手がけていて、通常ベンチャーが持てないようなサーバーを持っておられました。それを活用させていただいているので、監視体制も強化され、通常のベンチャー企業ではもてないような設備を兼ね備え、セキュリティレベルも非常に高い状態になりました。
そこまでのレベルに達すれば、「一緒にやっていけますね」という展開になり、現在はOEMにてご協力させていただいております。
【続く:3/5】
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