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【増永】 NEO BEATという会社ではどのような事業を展開されたのですか。
ネットスーパー事業のシステム構築を主な柱としていました。そのベースとなったのは、前職での出前館の開発ですね。システム構築から集客、そして営業・・・幅広く見てきたので、それらを別の形としてさまざまな方向に展開することを検討していったのです。
会社を立ち上げて1ヶ月ほど経ってから、大手スーパーさんからお声がけいただいたんです。ネットスーパーというものを検討しており、すでに数社大手企業さんが提案済みの大型案件でした。
大手競合社がひしめく中、個人事業主ではありましたがNEO BEATとしてコンペに参加させていただいたのです。そしてプレゼンが採用されそうなところで、個人から法人化させ、契約していただきました。お客さまとなる企業さんの規模も大きかったですし、そこはきちんと法人化する必要性があったためです。
● 個人事業主でまだ立ち上げたばかり・・・という状況で、なぜ大手企業からオファーがきたのでしょうか。
もちろん当時は信用どころか実績も何もありませんでした。ただ、出前館を開発していたという実績が大きかったようですね。「出前館をやっていた人間が、独立したらしいという噂を聞いたよ」、と連絡をいただきましたから(笑)。
その担当者の方が、「大手企業何社かにプレゼンをしてもらっているから、君もやらないか?」とチャンスをくれたんですよ。それで「やります」と自分が考えうるネットスーパーを提案しました。その時は、会社を立ち上げたばかりで、まさか自分たちの提案が通るとは思ってもいませんでしたが・・・。
後日談として聞いた話ですが、NEO BEATに決定するとなったときにはやはり大手企業ゆえに「得体も知れない奴らに任せるなんてありえない」と、社内では大変な問題になったそうです。しかし、当時担当だった方が「もしあいつが逃げ出すようなことがあれば、自分の退職金で返す」とまで役員会で宣言され、さらには「絶対にいいものができるから」と太鼓判を押してくれたそうです。
このことは数年後に聞いたのですが、非常に感動しました。この方との出会いがなければ今の自分はありません。立ち上げたばかりで資金も信用もない会社に、そこまで期待してくれたのは本当に嬉しい話ですよ。
● 基礎となるようなシステムはすでにあったのですか。
当然システムはありませんでした(笑)。まさか出前館のものを持ってくるわけにもいきませんから。当時は、全額前払いで報酬を出していただけたこともあり、それを資金に3,4ヶ月は徹夜状態でとにかく集中していました。何もない自分たちにそこまでしていただけていたので、逆に100%以上のものを返そうと考えて必死だったのです。
途中、先方からもいろいろな案をいただきながら進めていたのですが、普通なら「それを実現するのであれば、追加で幾らかかりますよ」というものも、「良いものであればやりましょう、どんどんやりましょう」と、工数も考えずに進めていきました。
出来上がるまでには、地道にお客さまと一緒に毎日のようにシステム改修を行なっていました。少しでも良いアイディアを取り入れていこうというスタンスでした。それこそ、電話一本で翌日には仕様が変わるとか・・・そういうことも頻繁にありました。こういった事を積み重ねていくことでどこにも負けないシステムが出来上がると考えていました。
こうして丁寧にかつスピーディーに対応しながら作っていったところ、そのシステム自体がライバルの大手企業に対し、非常に優位性のあるものに出来上がりました。しかも、一般的には数億円程度かかりそうなものを、実際にはその10分の1くらいの予算に抑えておこなうことができたのです。
その結果、当時は7社くらいの大手スーパーさんからオファーをいただき採用されるまでになりました。創業3年のベンチャー企業が1兆円、何千億円の大企業と直接契約を結ぶ奇跡がおこりました。
立ち上げ1,2年の会社が、名だたる企業の間に入ってプレゼンをし、勝ち抜くという構図は本当に珍しかったと思います。とにかく作って、次々と改善をかけてさらに良いものに仕上げていく―これは出前館時代に培った手法でもあります。
● 出前館時代もやはり他社との競争というのは厳しかったのですか。
そうですね、楽天さんとかぐるなびさんとか、超大手企業さんがすでに認知度も高く確立されていましたからね。そうした企業さんに、後発の自分たちがどうやって勝つのか・・・それはお客さまのご要望をとにかく取り入れて、スピーディーに作っていく。そして日々改善をかけ続けていくことでした。
要望を取り入れて改善をかけるというフローは、当たり前のようにも感じるかもしれません。しかしながら、開発手法としては実はあまり一般的ではないんですよ。まずは採算を考えて、それにあわせて開発を進めていきます。あとはそれにそって進めてください、といったシステム構築が多いのが現実です。それでは本当にいいものは出来上がりません。
だけどそうではなくて、「もうひと手間」が大事だと私は考えます。たとえばボタンを1つクリックするかしないかの差も、毎日利用するものであれば、1年間使えば、けっこう大きな手間の削減につながるんですよ。
こういうことを積み上げると、少人数の体制でも可能な大きな処理削減につながります。そういった事を実現したからこそ他の大手企業よりも弊社の仕組みが採用されたのだと思います。
最終的には、大手スーパー様でも通常は8人ぐらいで対応すべきところを3人でも可能になるような仕組みを作り上げることができました。
そうしたことが業界内で噂となり、各社さんからオファーをいただけるようになったのです。これが弊社の躍進の原動力になりました。
【続く:2/5】
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