【増永】 現在の会社を立ち上げる前には、どのような会社で働いていたのですか。
現在のヒューレッドパッカード(以下、HP)に10年いました。その後は、3つの会社の経営に携わっているんです。その中の1社がこのアイエスエフネットという会社であり、私が直接創業した会社になります。
● HPではどのようなことを学ばれましたか。
私が勤めていた頃は、HPではなくDECという社名で後にコンパックに買収され、さらにHPに買収された経緯があります。
その当時、アメリカを代表するコンピュータ会社であり、世界でも1位がIBM、2位がDECそして3位が富士通という構図でした。
外資系ですから、国内企業では感じられない「外資系ならではの良さ」というのがあったんです。いろいろなものがシステマチックになっていて、福利厚生も充実している。一方で、「外資系ならではの良くないところ」も知りました。リストラが代表的なもので、どんなにいい人であろうと成績が悪ければ容赦なくリストラされる。この文化にはどうしても馴染めませんでした。
このとき体験した良いこと・悪いことは現在の会社作りにも活かされていて、良いものは取り入れ、嫌なものは絶対に自分はやらない―そう決めたんです。
● それでは現在の事業について教えてください。
簡単に言えば、ネットワーク周りのサービス提供を中心に展開しています。たとえば、Wi-Fiという無線LAN機器が、現在はあらゆる箇所に設置されていて、ネット環境につながっているわけですが、この機器の設置が当社の事業の1つでもあります。
そしてこれらの機器は保守も大変重要です。さらに言えば、これらの機器が受信するデータはデータセンターというサーバーに集約されるのですが、このデータセンターの運用も必要になります。こうしたさまざまな箇所でエンジニアが必要となり、そのエンジニアの育成や派遣まで請け負っています。
ワンストップで受託しているので、24時間365日のフル稼働です。
● 創業してから急速に成長をされていますが、その急成長のポイントや独自の経営スタイルなどあれば教えてください。
ポイントは「市場」ですね。話は飛びますが・・・沖縄時代、西表島で私はスキューバダイビングのライセンスを取ったのですが、このときにとても大事なことを教えてもらいました。実は今でも、私にとって経営のヒントになっているんですよ。
ダイビングには浜から歩いて入るパターンとボートでポイントまで行って、そこから海に入るパターンの2つがあるのですが、浜から行くときに言われたことがあったんです。
沖縄の海は浅瀬が続いたと思ったら急に30メートルくらいの深さになったりするんですよ。そうした場所に行ったとき、「渡邉さん、海の横を泳いでください」と言われました。はじめは意味が分からず、その意味を聞いてみたら、「潮の流れが場所によって違うんです。だからプロのダイバーは潮の流れを読んで、海に入るんですよ」ということでした。
確かに言われているとおりだったんです。浜から海側に潮が流れているところと、沖から浜のほうに潮が流れているところもあり、位置によって違いました。
じゃあなぜ彼はそれを教えてくれたかと言うと、行きはプロのダイバーが浜から沖に潮が流れている場所を知っているので、案内するにもすごく楽なんですね。けれど帰りについては、みんなばらばらで戻ってきます。だから自分自身で潮の流れを感じて、安全な道を選ばなければならない。
この話を聞いたとき、私は経営の基本はこれだ―そう思いました。
この話は社員にも何度も話していますが、経営の基本は、潮の流れが背中からきている状態のところでやらないと絶対にうまくいかないということ。向かい風の吹いているところで・・・たとえば市場がシュリンクしているようなところでいくら頑張っても、絶対にうまくいきません。
私が新規事業を検討するときにいちばん大事にしているのは、仮説を立てることです。1991年に、電話やテレビなどの通信・ネットワーク的なものはすべてインターネットに取って代わる―という1つの仮説を立てました。仮説どおり、これは当たりました。
余談ですが実はもう1つ仮説というか事業計画を立てていたんですけど、これははずれています・・・今この会社は2万人規模になっている予定でしたが、まだ10分の1程度。この結果については、私自身の能力が足りていないということです。目標自体も高望みしすぎた部分がありますけどね(笑)。
しかしながら、ネットワークの仮説は当たり、さらにニーズは高まっています。今、潮の流れが後ろから思いっきり強くきているということです。
そういう状態だからこそ、来年度の新卒採用は400名を予定しており、さらに中途採用も行なっています。グループ会社まで含めれば、この1年で1,000人ほど採用しているかもしれませんね。それくらいに市場が伸びているということです。
つまりは、潮は予想以上に後ろから流れているということなのですが、個人的にはその潮の流れに対して泳ぎ方は悪かったかもしれない・・・とも思っているんです。自分の思っているようには会社が伸びていないということ。外から見れば、ものすごく順調に伸びているように見えるかもしれませんが、先ほど申したとおり事業計画どおりにはいっていないので、そのあたりはもどかしいです。
【続く:2/5】