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【増永】 様々な危機を乗り越えていらっしゃいますが、そのための対策などはどのように決められているのですか。
毎週月曜日に進捗会議というのを開催しているのですが、これは役員が集合します。そこで、「こんな状況だけど、どうする?」といったことを議論しています。基本的にはボトムアップ型を推奨しているので、そこから上がってくるような意見もきちんと聞くようにはしています。最終調整をするのは、トップの仕事ですけどね。
● 2006年からはコピー機.comがスタートして、その後はどのような展開に注力されてきているのでしょうか。
そこからはネット事業へ集中してきたことで、安定性は増してきていますね。
実は東日本大震災の前日まで、佐賀県で役員合宿をしていました。「佐賀県にコールセンターを出そう」という最終決断のために現地入りしていたのです。その後みんな都内に帰っていったのですが、震災によって交通網は乱れ、今後の営業体制についても影響が及ぶため、いろいろな意思決定が必要となりました。
数日後にようやく全員集合できたのですが、こんな状況の中でも、佐賀県のコールセンター新設プロジェクトは続行すべきかどうか・・・という話題になりました。
私の判断は、「そのまま続けろ」でした。ただ普通に販売するだけの販売店は、意味がない。徹底してお客さまとユーザーをグリップすることに意義がある。
たとえば、回線や携帯電話を買って、さらにコピー機まで入れてくれているお客様というのは、ものすごく解約率が低いのです。業界の中でもビジョンは一番数字を売っていて、一番解約率も低くて、かつ一番事故率も低い。これが最大の売りになっています。単なる数だけではなく品質まで保証することを、非常に大切にしているからです。
よって、ユーザー満足度をこれまで以上に上げることがマストであり、佐賀のコールセンターをインターネットのプル型のセンターという位置づけにして、さらにユーザーを守るセンターという立ち位置を確立しよう―こう決意したのです。
そして、2011年6月に佐賀県のコールセンター「ビジョン・フューチャー・ビジネスセンター」を開設。
これによって、まず営業が非常に楽になりました。というのも、営業が一人ひとり既存のお客さまをケアしなくても、コールセンター側が細かくケアできるようになったのです。結果、楽になったことで、より販売業務に集中できるようになりました。
コールセンターも丁寧に対応しているので、既存ユーザーの解約率を抑え、一人ひとりのニーズに応えることができています。
こうして、私の頭の中でずっとやりたかったことが、今ようやく実現できるフェーズになってきているのです。
● 現在、御社が最も注力されている事業は、「グローバル WiFi」というサービスかと思いますが、こちらについても詳しく教えてください。
これは海外でもパケット料金を定額にして、快適なモバイルインターネット使い放題を実現するサービスです。
2011年の6月に、たまたま、社外の方々と団体で海外に行くことがあったのですが、行っているメンバーはみんなスマートフォンなどの利用でパケット料金がとんでもないことになっていました。
ビジョンとしても、企業向けにiPhoneを販売していたので、お客様から「海外での利用で100万円のパケット料金の請求がきている」といった、悲鳴にもつながるような声が寄せられていました。
キャリア側もある程度は減免してくれるものの、全額負担とはなりません。企業としてもますます海外利用が増える中、このままではまずいだろう、何か考えなければ・・・とは常々、思っていました。
当社はその時、国内ではすでに『e-ca』というWiFiルーターのレンタル事業を始めていたのですが、これを海外でも同じように展開できないだろうか・・・と考えたのが発端だったのです。
そしてまずは、アンケートなどのマーケティング調査を始めました。「海外に行く機会はありますか」と聞くと、全体の20%くらいが機会はあると。「そのとき携帯電話などの利用はどうしているのか」、と聞けば、ローミングオフにしているので、海外に行くと利用に困る―といった声が多数挙がったのです。
これらの結果から、「これは予想以上にマーケットはあるかもしれない」と思いました。当時すでに、他社さんは携帯電話のレンタルサービスやWiFiルーターのレンタルサービスも始められているところもあり、各方面からいろいろな声を聞きました。こうした声も含めてニーズと事業性を計っていきました。
これでいよいよニーズがあることを確信し、グローバルキャリアを作ろう―となりました。通信会社は国をまたいで自由に展開はできないけれど、自分たちの事業であれば、ボーダーレスで展開できる。これは強みでもあるし、一気呵成で畳みかけよう。生意気かもしれませんが、こうして展開してきました。
すでにユーザーから困っている声が多数挙がっていたことが立ち上げの直接的なきっかけにはなっているので、お客様の声を聞こうとしていなかったら、発想もしなかったかもしれません。お客様の声に耳を傾けることの大切さを、改めて体感しましたね。
● 様々な国・環境で展開する上で、一番苦労されたことはどのようなことでしたか。
そうですね、たとえば韓国に行って、韓国の通信キャリアとの交渉が発生します。次にシンガポールに行けば、また改めての交渉が発生するので、国ごとに手間がかかるというのはありましたね。
ただ交渉を行なえば、100%即決で承認いただきました。彼らにとってデメリットになることはまったくないということが理解いただけたからです。だから大きな苦労というのは、ないかもしれません。
各国の通信会社とお付き合いをしながら進めていくので、私たちは国籍とは一切関係なく、現地の人材を採用してきてます。
これは創業期に外国の方をたくさん採用していき、一緒にやってきたという経験が活かされたと思いますね。
【続く:4/5】
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