|
【増永】 御社のメインサービスであるZACについて教えてください。
販売、購買といった企業内における基幹業務を行なうための統合業務システムであり、プロジェクト単位や事業部単位はもちろん、組織全体の利益管理を実現することができるERPパッケージです。クラウド・SaaSにて提供されるため、インターネットを経由しWebブラウザで簡単に利用することができるのも特長です。
このような統合業務システムを導入する際には、一般的に2つの選択肢があって、パッケージ商品を利用するか、自社で開発するか−このどちらかです。
求められるシステムには請求書発行のプロセスや入金管理のプロセスなど、さまざまなプロセス管理が含まれています。こうした部分については、会社による独自性は低いので極力共有をして、1つのものを多くの人・会社に利用してもらったほうがいいですよね。だからこの部分はパッケージングで対応するのが効率的です。
一方で、当然のことながらオリジナル要素を必要とする部分もあります。この場合、ゼロから全てオリジナル開発するのではなく、すでにパッケージ化されている要素の中からある程度利用し、足りない部分をオリジナル開発するだけでもかなりのオリジナリティが出てくるんです。
従来はパッケージ、そしてオーダーメイドのどちらか一方という概念が一般的だったと思いますが、実は両方を組み合わせることだってできる−創業当時、ホームページに「パッケージング&オリジナル」というキーワードを掲載していましたが、この両立を可能にしていくことこそが、これからのシステム開発業には重宝されるものだと信じて、私たちの事業のベースにもなっているのです。
● お取引先は、どういった企業さんが多いのですか。
偶然にはなりますが、成長企業とよばれる企業さんが多いです。最初のお取引先は広告業界の企業さんで、「上場準備のためにもシステムが必要です」というリクエストのもと、受託開発を請けていました。今では一部上場企業となられ、継続して当社のシステムをご利用いただいています。
また当社のお取引先が増えていく過程で影響が大きかったのは、お客さまからのご紹介でした。成長企業さんの周りには、同様のステージにいる企業さんが多いんですよ。そうしたところからご紹介を受けて、受託開発を繰り返していきました。
こうした理由から、必然的に成長企業の方と接する機会が多くなり、なぜ彼らが成長するのか、また利益を出せているのか理由を見てくることができたのです。
システムを構築するためには、経営者の方にいろいろとヒアリングをすることもあるのですが、気付けばいつの間にか自分たちも多くの学びを得ていたりするんですよ。それをシステムの一部として、反映させて機能アップすることができました。
多くの成長企業とお付き合いできたことで、一体どんなことが起きたのかというと、「オロという会社は、成長企業群の求めている機能がふんだんに取り込まれた業務システムを開発している会社である」という立ち位置の確立でした。
● 立ち位置を確立するまでに、川田社長の独自の工夫なども影響されていると思うのですが、いかがでしょうか。
そうですね、私はどこの企業にも就職せずにこの会社を立ち上げたので、何の既成概念も先入観もないままに自社商品の開発に没頭できました。だからたとえば、「伝票を書く」という業務をシステムに組み込むのが一般的だったとしても、私たちにとっては「そもそもその作業は必要なのか?」と、常識から一歩引いた視点で考えることができたのです。
その他、成長企業とのお取引が増えることで気付いたことがありました。それは、彼らが求めていることのキーとなるコンセプトは、「なぜ利益が上がっているのかを見える化すること」でした。そのためには、社員全員が数字を意識できるような環境にすることが必要であり、その意識付けをサポートするためのインフラ導入を強く求めていたのです。
経理部門に伝票が回ってきて、単純にそれらをまとめるシステムを求めているのではなくて、潜在ニーズとしていろいろ細かな要望があったわけです。それらに気付いてからは、そのニーズをパッケージ化していこうという方針をとるようにしていきました。
ところが実現するには想像以上に労力がかかり、さらにはこのプロジェクトに発生するコストは恐ろしいくらいに金額がかさんでいくんですね(笑)。ZACに費やされる累積の投資コストはものすごくて・・・だけどそのコストに値する、十分な価値を備えたパッケージ商品として完成していきました。
結果として、当社側にとっては非常に大きな投資コストが発生して生まれたZACですが、使いたいと思う企業さんからすれば、十分に機能を兼ね備えたシステムであり、かつリーズナブルに利用できるというメリットを生み出せたのです。
● 現在はどのくらいの企業さんに導入されているのですか。
200社(2012年7月現在)ほどの企業さんに導入していただいております。
販売管理、購買管理、経費管理、勤怠管理など機能ごとのライセンスを細かく区切って提供していて、それらの機能を必要とする人数分だけ購入すればよいので、企業さんの成長に無理なく合わせた投資をしていただけるような構造になっているんです。その結果、全体の傾向としてはアーリーステージからミドルステージに至るまで幅広く受け入れていただいています。
● ZACについて、他製品と比較して競争優位性を教えてください。
お客さまに一番実感していただけるのは、繰り返しになりますが、開発コストが相当かかっているだけに十分な機能を備えたシステムを、安価に利用することができるという点でしょう。この領域においては、他にはあまり同様のソリューションがないと思います。
パッケージシステムという括りでは、世の中にたくさんあるんですよ。大手さんも展開していますから。ただどうしても、製造から小売、サービス業などあらゆる業種に広く浅く対応できるような設計になりがちなんですよね。
一方、当社の製品は違います。広告業、ソフトウェア開発業、コンサルティングなど、いわゆるサービス業に業種を絞り込んで展開をしています。
これら業種の経営管理には特徴があって、たとえば、サービス原価に占める労務費の割合が高いため、プロジェクトや案件ごとの労務費を原価として適切に管理する体制が整わなければ安定的に利益を出すことができません。このような業種に特徴的な要望や要件に絞り込んでシステムを設計しているので、そこに該当する業種の企業さんから見れば、まさに使いたい機能が凝縮されていて、ほぼほぼ完成されたパッケージになっている印象だと思うんです。
だから幅広く対応されている同業者さんに私たちと同じものを要求してしまうと、カスタマイズフィーがどんと上がってしまい、お客さまにとっても一気に負担が増えてしまいます。そうした点から、ZACには競争優位性があると自負しているのです。
私たちが対象としている業種は、市場的にも大きく伸びており、今まさに業務効率を上げたいというニーズが非常に高くなっています。知的労働者の生産性向上を求められているので、ZACを使ってその解決を担えるようにしていきたい−そんな使命感を持ってやっています。
● 販売における工夫などはございますか。
やはり、業種特化という部分を明確に打ち出した営業活動を行なっています。このような特化型システムを作りこむのはかなり大変で、かつ、サービス業に特化した製品は市場にもなかなかないので、最近では大手のシステムインテグレーターさんが私たちのサービスを販売していただける、そんな提携の機会が増えています。
【続く:2/3】
|