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【増永】 先ほども話に出ていましたが、外の道具に頼りがちの風潮を断ち切るためにも、独自に開発されたシステムがインスマートシステムなのですね。
先ほど話したオークションを利用しない買取り保証をシステム化して、それをスマートフォンで提供するサービスとなります。
13年間このビジネスをやってきて、これほどまでに営業が好調なのは初めてというぐらいに、売上げが絶好調です(笑)。5年前にやっていたらきっと失敗していたでしょうけど、もっと早くやればよかった・・・と思うぐらいにすごい勢いです。
アプリを作って、それを加盟店さんには無料で提供、加盟店さん以外では1IDを月額制で販売して利用していただいています。現時点で700IDを発行しているんです。
私の経験から、オペレーションに関わる業務系システムの新たな導入には、一般的には半年ぐらいのスパンを見込んでいくものです。だけどインスマートシステムは、即決で納入されています。その結果、錚々たるディーラーさんに導入していただいているのです。
● 即決したくなる理由は、どういったところにあるのでしょうか。
この業界はまだまだアナログな世界なんですね。だから業務効率を向上させて、同時に精度も向上できる、さらには分析までできるという点がかなり魅力的なのだと思います。
たとえば拠点と拠点とで車情報のやり取りをするとします。「この車はいくらで下取りしていいか」、こんなやりとりが99%はファックス対応なんですよ。受信側は黒くなって見づらい状態の紙を見て、そこにまたメッセージを書いてファックスする・・・この繰り返しで、肝心の車の状態なんて何度も送受信された写真からは確認できません。
そういう世界なので、インスマートシステムを導入することで、車検証のQRコードを読み取り、必要な情報はスマートフォンに入力できて紙要らずというわけです。もちろん、写真も撮れるから車の詳細部まで両者で確認できます。こうして、私たち独自の車両査定データベースを活用してもらって、中古車の買取りを行なっていただくのです。
今の世の中、当たり前のようなことではありますが、これが実現できたことで業務効率も精度も上がるわけです。
しかも加盟店さん以外でも、利用料金は月額1ID1,000円でのご提供。10名の営業に発行しても、1ヶ月1万円です。従来のやり方にこれだけの革新を起こすシステムを、この価格で使用できるなんて絶対にないですよ。
ということは、当社にとってはこのシステムでは儲からないということですが・・・それでもいいんです。そもそも、当社はシステム会社じゃないですからね。専門分野ではないところで儲けようだなんて、よこしまな考え方をしてはいけない(笑)。本当にやりたいのは、マッチングの流通なんですから。
オークションを使わない、「買取り保証」という新しい流通を活性化させるためにも、システムを激安で販売して、まずは全体のシェアをとっていこうという戦略になっています。
● システム開発に携わってみていかがですか?
Android対応で開発を進めたのですが、実際のシステム作りは外注で開発環境自体は自由だしお金もそれほどかかりません。ただバージョンアップがものすごいスピードで行なわれているので、その対応に追われる感じです。あとは、端末依存が激しいということに気付かされました。
結果的に、3キャリア1機種ずつの対応しかしていないんですけど、それ以上拡げるのは無理だったんです。そういった意味で、iOS版は端末依存がないですからAndroidと比較すれば手間は省かれます。そこで、3月にはiOS版をリリース予定です。
おかげさまで販売は良好だし、本来の目的である「シェアをとる」といった点ではまずまずのスタートだと思っています。
● そうしましたら、井上社長がこれまでの経営で学ばれた経営者としての心得などあれば、ぜひ教えてください。
経営者としてはまだまだですので、偉そうなことは言えませんが・・・私が経営者として心得ているのは、「自分が組織の中で一番優秀ではない」ということを知っておくことです。社員のほうが私よりも優秀で、社員の言っていることのほうが正しいことって、日常の中でたくさんあるんですよね。
それに経営者は、本当は自分が分かっていないことを周りに知られるのが嫌だから、部下を質問攻めにして「お前が分かっていない」と話をはぐらかしたりするじゃないですか(笑)。
そういう経営者にはなりたくないので、あらかじめ自分が優秀なわけではないんだから、分からないことは分からない、とはっきり伝えよう−そうすることが、経営者としてすごく重要なことであると思っているんです。
● 軌道に乗るまでには、やはり浮き沈みをいろいろと経験されたのでしょうか。
そうですね、たとえばリーマンショックの影響も受けましたし・・・都度影響は受けています。ただその中でも1つ良かったと思えることがあって、それは銀行員出身だったということです。表現は悪いかもしれませんが、銀行を信用しなかったということ。
つまり、借り入れに依存しない会社にしているので、無借金なのです。現在、無借金であり、利益の蓄積もあるので手元にキャッシュがある状態になります。
実は過去に、故意的に赤字にした期がありました。なぜなら、それは加盟店さんの支援にまわるためです。当時、役員会で「今期は1億円の赤字を出します。ただ単に赤字を垂れ流すわけではなくて、具体的な対策をとりつつ、加盟店さんの広告をはじめとした支援をしていく予定です。もちろん極力赤字幅の縮小には努めますが、最大で1億円まで許容します」と宣言しました。
なぜここまでできるかといえば、1円も借金がなく、現金をたくさん持っているから。赤字にしたところで、評判は悪くなるかもしれませんが、外部から何か言われなければならない関係はなかったんですよ。だから強気で積極的赤字に挑戦できたのです(笑)。
元銀行員の経験から、自社の財務体制を「借り入れに依存しない」体制にしていたことが、非常に良かったと思っています。そうした事前準備のおかげか、市場がいろいろと揺れていても、利益を出すことができたのです。
【続く:5/6】
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