松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫 氏 『 経営で一
番大事なのは時代観や歴史観を持つこと 』
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松井証券株式会社 代表
取締役社長 松井 道夫 氏
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2004年04月07日 vol.132

松井証券株式会社
代表取締役社長  松井 道夫 氏

経営で一番大事 なのは時代観や歴史観を持つこと




経営で一番大事なのは 時代観や歴史観を持つこと



【増永】 社長 になられた経緯からお伺いできますでしょうか?

【松井】 
私はいわゆる創業者でもないです し、85年の歴史を持つ小さな会社の4代目で、尚且つ御曹司でもなくて娘 婿なんです。 今から17年前に日本郵船から移ったんですけれども、基本的には小さな同 族会社でしたから、移ってきた時点で後を継ぐという事が決まっていまし た。

実際に社長になったのは入社してから8年経った95年でした。 後継者として入社したわけですが、最初の2,3年は、経営とはどういうも のかよく分かりませんでした。 そもそも証券業自体がよく分かりませんでしたから。 3年経った頃、たまたまバブルが崩壊し証券経営が厳しくなって、そこか ら「これじゃいかん」という感じで社内改革を行い、ビジネスのやり方も 変えていったわけです。

そういう意味ではその頃、今から14年ぐらい前には 実質的な社長という意識でした。 逆にその後実際に肩書きが社長に変わった時はその意識があまりなくて 「いつ社長になったんだっけな」ってそんな感じですね。

松井証券は同族会社と申し上げましたが、義父が2 代目なんです。 創業者は当時有名な大相場師だったのですが、戦争で財産を全てなくし、 2代目の義父は一からの出直しスタートだったので実質的には創業者みた いなものなのです。

彼はその後40年間ぐらい社長をやってきて、自分で この会社を築いてきたわけですから、それなりの思い入れがあったはずな んですけれども、血のつながらない娘婿の私に事業を継がせるにあたって は、「これからは全部あなたに任せた。 責任者なんだから、あなたが自分で決めて好きなようにやってくれ。 そして当然結果についても全部あなたの責任だから」と言われまして、事 実継いでからはそのようにやっています。

経営上の問題について話し合った事はほとんどあり ません。 最初のうちは「こうしたいんですけれども」って相談したこともありまし た。 そうすると返ってくる答えは、「それがいいと思うんならやればいいじゃ ないの」とそれだけなんです。 全部それですから、そのうち自分の思った通りにやるという感じで彼には 相談しませんでしたね。 もし僕が逆の立場だったら出来ませんね、そんな事(笑)。

「この会社を僕に継がせて下さい」と言った時に彼 が言った言葉があります。 それは、「おやんなさいよ。 でもつまんないよ」と。 それでもいいならどうぞお願いしますという、これだけですね。 あんまりないんじゃないですかこういう例は。

● 実際に「つまらない」と 感じられたことはありましたか?

それには、いろんな意味があったんでしょうけれど も、「つまんないよ」というのがどういう事なのか、何を言わんとしてい るのかというのは、その後徐々に「あ、そっか」みたいに気づきました。

証券も銀行も保険も、ないしはその他もろもろにつ いても規制産業と呼ばれるものがありますよね。 証券会社はご存知の通り大蔵省の監督下にある規制業種だったので、官が 全部シナリオを作り仕組みも作って管理していたんです。

そうすると社長がやることがないんですよ。 そういう規制産業では大体において協会というものがあります。 業界団体ですね。 ここで全てが決まります。 お互いに社長同士「ちゃん」で呼び合うんですね。 競争相手という意識は全くなくて仲間なんです。

やることはみんなで飲み会とか一緒に旅行すると か、そんなことばかり。 つまり経営者でありながら自分の思うようには何もできない。 だからつまんないんです。

もう一つは当然そういう環境なので、例えば役員で も、考える必要が無いから何にも考えないんです。 だから彼らといろいろと議論するようなこともないですしね。 まあ、つまんないという事はこういう事かと、その後本当に実感しまし た。 よくも40年間こんなのに耐えてきたなぁと思いましたよ。

 
ノウハウったってしれています。 僕はこの情報革命によって何が起きているかなと考えてみると、どうも 「個」というものが中心になって、世の中のありとあらゆるものを動か す、こういう時代になったのかなと思います。

● ブービーの証券会社 から業績を伸ばされたのですが、どのようなモチベーションで取り組まれ たのですか?

伸ばそうという意識よりも「こいつ等に本当の商売の姿 とはどういうものか、現実の世界を見せつけてやる」と思ったんです。 こんなことで商売やっているとは言わせないぞと。 世の中甘く見るのもいい加減にしろと。 目にものを見せてやるぞと。 こういう意地ですね。

こっちの方が遥かにでかいです。 その結果ですよ。 例えば利益もそうですし、売上もそうです。 そんなものは、その結果なんです。 よくなんかの志とか、理念とか言いますよね。 確かに凄く大事なことですよ。 でもね、僕は思うんですけれども、それを前面に出して事業を開始して、 成功した人ってあんまりいないんじゃないですか。

僕はそのかわりに、そんな抽象的な物じゃなくて、 もっとドロドロした意地が原動力なんじゃないかなと思いますね。 それがなかったら途中で放り投げちゃいますよ。 事業が成功するかしないかは、その意地がどれだけ大きいかどうかです よ。

● 意地から結果に変え られたわけですが、その際に大事なことはありますか?

ノウハウ以上に、経営で一番大事なのは時代観や歴 史観を持つことだと思いますね。 結局、BtoBのビジネスであろうがBtoCのビジネスであろうが、つまると ころ人間を相手にしているわけでしょう。 人間というのは、どういう事を背景にして行動しているかというと、時代 を背景にして行動しているわけですよ。 時代というのは固定されていなくて、移り変わっているんです。

その時代時代によって、人間が考えている「常識」 と呼ばれるものっていうのはどんどん変わっていくわけですよね。 ビジネスというのは、そういった時代が変化することによって、刻々と変 わっていく人間の気持ちというかニーズをいかに捉えるかどうか、こうい う事に尽きるわけですよね。

「一体今の時代っていうのはどういう時代なんだ」 ということを考えなければなりません。 例えば今、情報革命が起きています。 産業革命なんて比較にならないような大革命が起きている。 みなさん口ではそう言っているけれども、多分「へぇーそういうものです か」って他人事のように聞いているような人達は経営者にはなれません。

凄まじい革命なんです。 情報革命というのはありとあらゆる業に反映されるわけですから、「その 本質はなにか」これを自問自答して時代観を持つ、そこから「じゃあどう いうビジネスをするか」これをやらない限りどんな事業をやったって駄目 でしょうね。

ノウハウったってしれています。 僕はこの情報革命によって何が起きているかなと考えてみると、どうも 「個」というものが中心になって、世の中のありとあらゆるものを動か す、こういう時代になったのかなと思います。 個というのは、言ってみればさまざまな思惑を持っているわけですよね。 一様ではないんです。

例えば価格だって、高いか安いか、これは個ごとに 全部違うんです。 今までは供給者側が、情報を持っていない個に対して押し付けて「こうい うものだからこれに従いなさいよ」と。 個というものを囲い込んで、「そういったものが商売だよ」という風に思 われていたんですけれども、供給者側なんていうのは、実は言ってみれば 個から囲われる存在に過ぎないんです。

我々が個を囲うのではなくて、個から我々が囲われ るんです。 その個が持っている感性というのはさまざまなんです。 そうするとPricingというのは実物じゃないだろうと。 こういうことをもし考えたとしたら、全ての業の商売の原点である「どう いう価格にしようかな」というものの意味合いが変わってくるでしょう。

価格の意味合いが変わってきたら、当然価格の裏側 にあるコストが関わってきます。 そうすると、顧客が価格を選ぶということはすなわち、顧客がコストを選 ぶということなんです。 ですから価格の意味合いが変わってきたらコストのあり方も変わってくる わけです。 そうすると、自分達が今やっているビジネスにかかるコストに対して、お 客さん側から見た場合に果たして認められるコストなのかどうかを考えな くちゃいけない。

僕の業界の場合でいえば、そういう世界になって、 尚且つそこに自由化というものがONされたわけですよね。 そうすると今まで自分達が当り前だと思っていたコスト構造っていうの が、いつの日かお客さんから認められなくなるだろうという気持ちになっ たわけですね。

だからリストラをやったんです。 リストラっていうのは、お客さんに合わせたコスト構造に変えるという意 味ですよ。 これの根源はやっぱり時代観ですから、時代観を持たない経営者はコスト の意味がよく分からないわけです。 だから、本当の意味でのリストラなんて出来るはずがないですね。 僕はそこの所にビジネスの一番のベースがあると思っていますね。


【続く:1/4】



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