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経営者向けメールマガジン「プレジデントビジョン」
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2012年11月16日 vol.1181  
Today's President

株式会社浜野製作所
代表取締役 浜野 慶一 氏

企業文化や風土を変えていく必要がある

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プレジデントインタビュー

企業文化や風土を変えていく必要がある


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【増永】 これまでさまざまな経営判断をされてきたと思いますが、現在の成功につながっていることがあればぜひ教えてください。

自ら営業をしていたとき、顧客を増やすためにはどうすべきか―ということに悩みました。そのときは3つの選択肢が自分の中にあったんですね。1つは「価格を安くすること」、次に「難度の高い加工をすること」、そして3つ目が「納期を短縮すること」でした。そして私は3つ目を選択したのです。

そもそも選択したというよりも、ニーズが一番多かったというべきかもしれません。父親の仕事をそのまま引き継いでやってきましたけれど、各企業の生産拠点が海外に移るなど、時代の流れが急速に変わってきました。

当時は私たちのような小さな工場には、どの企業さんもなかなか仕事を出してくれません。自社工場を構え、品質の保証やら生産の効率などを図れた環境にしてようやく、選択肢の1つとして見てもらえる、そんな状況でした。

このままでは、仕事を増やすことができない・・・であれば、仕事が取れる保証はないけれど、工場を作ろうと決めたのです。そして小ロットや設計試作、精密板金という新たな分野にも対応できるようになりました。2000年ごろの話です。

工場を作ってしまったからには、当然のことながら支払いが発生しますよね(笑)。だから何としてでも仕事を取って売上げを上げなければなりません。しかしながら精密板金という分野への参入はかなり遅れをとっていたので、すでに競合社が山のようにあるんですよ。目新しさもないですから、営業しても「浜野さんのような会社とはすでに取引していて、そこで十分だから」と断られ続けました。

どこに行っても同じように断られ、これが数ヶ月続いたのです。こちらも必死だから繰り返し繰り返し同じところに営業にまわりました。するとあるとき、「実はね・・・」といつもは断られるパターンなのに、ちょっと反応が違ったんですよ。「ちょっとこの図面見てよ。これ、2週間でできる?」と言われました。

こちらとしては、「できます」と答えるのですが、なぜ取引している工場があるにもかかわらず、私たちに聞いてきたのか不思議に思いました。確認してみると、「みんな希望納期での対応ができなかったり、できるけど社内調整が必要になるとか・・・スムーズにいかないんだよね」ということだったんです。

結局、「希望納期対応の有無」については、その他のお客さまも同じように悩んでいたことが分かりました。お客さまの要求が何であるかが分かったからには、この部分を解決していけば後発の私たちにも仕事を任せていただけるはず・・・そういう期待と確信をもって、「短納期」という道を選んだのです。

● 短納期での対応に注力することになり、いろいろと社内体制を変えられたこともあるかと思いますが、どのような苦労がありましたか。

「人材」ですね。私たちのような中小・零細の町工場になると、来る人材も限られてきます。当時、採用にかける予算もないので、ハローワークを頼りにするしかありません。だけどなかなかこちらが求めている人材と一致することは、難しくて・・・。

以前なら経験者優遇で採用していたものの、時代が変わってくると、会社も従来のやり方を変えなければならないときがきます。それが短納期という選択肢だったり、品質の向上だったり、さまざまです。こうした改革の話をすると、経験者である職人さんたちは自分たちのやり方を変えたくないので、新しいことに挑戦することをなかなか快くは受け入れられないのです。

その気持ちも十分わかります。今までやってきたことをやるのが、誰だって一番楽ですからね。しかしながら、そう思っている人たちが社内に3人、4人もいれば、社内はまとまりません。まずはここを統一する必要があると強く感じました。

そこで、改革のひとつとして未経験者まで採用の枠を拡げたのです。要は、頑として会社の方針を聞かない15年、20年選手をこれ以上何人も集めたって、モノは作れてもお客さまにより良いサービスを提供する、という私たちの最終的な目標を達成することは難しいと考えたからです。

どういう方針でやっていくかということを会社もきちんと示して、それを理解してくれる人たちでやらなければ意味がありません。たとえ今すぐそれを実現できなくても、いいんですよ。理解して、一緒に前に進んでチャレンジしてくれる人がいれば、経験は関係ありません。そういうスタンスで臨んだのです。

● 新たな取り組みについては、浜野社長が率先してやられるのでしょうか。

そうですね、私が中心となっていましたが、なかなか厳しかったですよ(笑)。新しい取り組みについて職人さんに話をしても、先ほどの話のとおりものすごい抵抗があったりします。それでも私が強引に始めると、目の前では文句は言わない。だけど実際に現場を見ると、これまでどおり自分のやりやすいように進めていたりしていました。

もちろん四六時中、私が現場についているわけでもないですから、そういうことが往々にして起きてしまっていたんです。いくら口で説明をしたところで、彼ら自身がその必要性を感じないと、残念ながら改善はされません。

● 思うように改善を進められなかった中、どのようなことを感じましたか。

新しいやり方を、従業員みんなが受け入れられるような社内体制にすることが、非常に大切であるということですね。

当時は新たな取り組みとして生産管理システムを導入。そしてその他にもいくつか取り組んでいきました。

だけど、単にシステムを導入しただけでは意味がありません。最終的にはお客さまにより良いサービスを提供できればいいだけで、システム導入の有無は関係ありませんからね。ここを理解していないとだめなんですが・・・最初は新しいシステムを使っていることに満足していたのも事実です。

そもそも、どういう考えをもってやっているのかを社内全体に根付かせるためには、システム云々よりも、企業文化や風土を変えていくのが最優先である―当時はそう強く感じました。

【続く:3/5】


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株式会社浜野製作所


【事業内容】

浜野製作所は「おもてなしの心」をモットーにお客様に高品質の製品を提供する、金属製品の製造会社です。人の体内で使用される医療機器部品や、携帯の基地局で使われるアンテナ部品、海底ケーブルの固定金具など、生活の様々なシーンで活躍する製品を手がけます。

設計開発事業を積極的に推進し、墨田区との電気自動車開発プロジェクト「HOKUSAI」や、深海8,000mを目指す探査艇開発プロジェクト「江戸っ子一号」など、常に会社の新たな可能性を切り開いています。

従業員教育にも力を注ぎ、新たなプロジェクトは若い人材を中心に進め、インターンシップ生の受け入れや、地域の子供たちへのものづくり教育によって社内活性化を図るなど、継続して発展し、スタッフの人生が輝ける場の創造を目指しています。



精密板金・プレス事業部

1..医療機器、半導体製造装置、理化学機器、インプラント部品、ポンプ関連機器、情報通信機器、デザイナーズ商品等のレーザーカット・精密板金加工・アッセンブリ。

2.プレス金型設計および製作。プレス加工。


設計開発事業

1.検査装置や灰皿等の筐体製品の板金設計・製作。

2.その他、イラストやヒアリング、現物を元にした金属製品の製作。




【プレジデントプロフィール】

浜野 慶一
(ハマノ ケイイチ)

1962年東京都墨田区生まれ。
1984年東海大学政治経済学部経営学科卒業。
1984年都内板橋区の精密板金加工メーカーに就職。
1993年創業者・浜野嘉彦氏の死去に伴い、(株)浜野製作所 代表取締役に就任。

産学官交流の一翼を担い、早稲田大学の友成真一教授が指導する「地域を経営する」ゼミの学生を毎年招き、社員との交流を図る。また「フロンティアすみだ塾」で塾頭を務める一橋大学商学部(現明星大学)・関満博教授の協力を得て、産学官連携センターを設置。ゼミ生が立ち上げた「なんでもすぐやる課」を後押しする。

また、ものづくり企業グループによる産学官活動にも積極的に参加し、深海探査ロボット艇開発プロジェクト「江戸っ子1号プロジェクト推進委員会」で副委員長を、「すみだ次世代モビリティ開発コンソーシアム(電気自動車製造)」では副会長を務める。

2011年8月 東日本大震災、復興・復旧に尽力したとして経済産業大臣表彰を受賞。

また、同年に「朝日新聞デジタル」の経営者コラム「仕事のビタミン」コーナーで、半年にわたって執筆。




 






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