松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫 氏 『 自分達にとって一番不利なことを考えろ 』
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松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫 氏
Today's PRESIDENT
2004年04月12日 vol.134

松井証券株式会社
代表取締役社長  松井 道夫 氏

自分達にとって一番不利なことを考えろ




自分達にとって一番不利なことを考えろ

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松井社長の経営に関する考え方に読者の皆様から多くの感謝の感想をいただいています。 私も実際に話をお伺いし、文章をまとめる過程において、たくさんの気づきがありました。 プレビの執筆活動を通じて、すばらしい経営者の方々に経営だけでなく生き方のようなものを教えていただけることは、非常に恵まれているなとつくづく感じました。



『 プレジデントライブ in 大阪 』 開催決定!(参加申込を締め切りました)

日時:4月26日(月曜日)20時〜22時(19時半開場)
場所:新梅田シティ「梅田スカイビル」
    39階スカイバンケット「天風」
参加資格:プレビ読者、参加予定人数25名(ちょっと多すぎちゃったかな)
参加費:7000円(ごめんなさい、増えちゃいました。 )
会の趣旨:発行者・増永が大阪に出張しますので、せっかくですから読者の皆さんと一緒に飲みましょう&読者さん同士の人脈が広がって欲しいです、という飲み会です。 今回は前回の反省を活かして立食パーティー形式です(笑)。 一緒に夜景を堪能しましょう。


●プレビがファン(継続読者)が増えるメルマガ 消えるメルマガ
(高橋浩子著:明日香出版社:1500円+税)で紹介されました。
●プレビに関する記事が日刊工業新聞朝刊に掲載されました(2003年11月19日)
●広告に関してはこちらから
●本編の発行は祝日を除く月・水・金。 PR号(全面広告)の発行は火・木となります。
●2003年9月7日読者数が3万人を超えました。



これまでの松井社長へのインタヴューはこちら

vol.132
 vol.133



【増永】 
松井証券がお客さまに受け入れられたのはなぜだと思われますか?

【松井】 
松井証券はone of themなんです。 お客さま側からすれば、別に思い入れがあるわけじゃないと思います。 ただ松井証券は今までずっといろいろと革新的なことをやってきました。 だから「これからもやるんじゃないの?」という、いってみれば期待感はあると思います。 この期待に沿わなかったら松井証券の存在価値なんてありません。 そういう風に自覚しています。

全てお客さまが決めます。 お客さまはあまのじゃくですし、いいとこ取りだし、自分勝手。 当たり前ですよね。 お金を払う側なんですから。 お客さまに対して「それはけしからん」と言ったって、それは天に唾するみたいなものですよ。 我々はお客さまに選んでもらう為に、常に革新的なことを意識してやり続けなければ、企業として存続できないと自覚しています。

● 「この指とまれ」というお話をお伺いした際に、ハッと気付きを得たのですが、そのお話をもう一度詳しくお伺いできますでしょうか?

よく天動説から地動説へと言っています。 天動説と言うのは、自分達が宇宙の中心にあって、お客さんは自分達の周りに存在する星なんだという考え方です。 だから自分達を大きくしてどんどん重力を高めてお客さんを囲い込み、いろんな関係会社をつくってグループをつくろうとします。 そうして巨大になればお客さまを囲い込めるんじゃないかというわけです。 これを天動説といいます。

ところが先ほど言いましたように、個が情報を持つ時代になったら、お客さま一人一人が囲い込まれようと思いますか。 お客さま一人一人が、全部自分を中心とした宇宙を持っているんです。 何百万、何千万、何億という宇宙が一人一人のお客さまの中心に存在するんです。 我々商人というのは、それぞれの宇宙に星として選ばれるかどうかの存在に過ぎないんです。

その時にどういう事をしなくちゃいけないかというと「この指止まれ」しかないんです。 「この指止まれ、自分がやろうとしていることはこういうなんです」と宣言する。 「こういう価格でこういうサービスをする、こういう製品を作るんだ」と。 「これが良いと思うんだったら、お客さま、どうかこの指を掴んで下さい」と。 商売とはこういう行為なんですよね。

一人一人のお客さまの前には指が無数に立っているんです。 どの指に止まろうかな、掴もうかなというのはお客さまの勝手です。 お客さまは自分にとってのナンバーワンの指を掴むんです。 それは業界のナンバーワンでもなんでもないんです。 それを勘違いするなよと。 お客さまは掴んだ指を未来永劫離さないなんてことはないんです。 気に食わなかったらすぐそれを手離して他の指を掴むというのが当たり前なんです。

お客さまが中心の世の中になった時、一体企業はどういうことをしなければならないのか。 。 やはり、今までのような20世紀的な発想で物事を考えているのでは駄目です。 組織だって変わらなければならない。 お客さまが全てを決める。 顧客中心主義なんです。 顧客第一主義ではないんです。

顧客第一主義というのは自分が中心になって「顧客が一番大切だよね、二番目は何ですか、三番目は何ですか」こういうことですね。 顧客第一主義という考え方は天動説なんですよ。 それに変わって、地動説は顧客が中心で、顧客を中心にして世の中が回っていると。 こういう考え方を持たなければ、おそらくどんなビジネスも駄目になるんじゃないでしょうか?

 
発想は簡単なんです。 自分達にとってもっとも不利なことを考えろと。 自分達にとって不利という事は、対極に位置するお客さまにとって有利なことになるわけです。

● 松井社長の中で、さまざまな経営哲学をお伺いしてまいりましたが、もう一つ「これを心掛けよう」というものがございましたら、お伺いできますでしょうか?

ビジネスの話になりますが、僕は社員に対して「頑張るな」と言っているんです。 「頑張っちゃいけないぞ」と。 なんていうのでしょうか「頑張りました、努力しました、で結果をこれだけ出しました」僕はあんまりそれは評価しません。 頑張ることは大事なことですよ。 でもね、頑張って出来ることというのは、一割向上するのだって至難の業です。 2割なんていったらほとんど不可能です。 もし頑張って5割も向上したら、前が駄目だった、頑張ってなかっただけの話なんです。

世の中が変わるということはどういう事かといいますと、「頑張らないでこうなっちゃいました」「仕組みを変えたらこうなっちゃいました」「2倍になっちゃいました、5倍になっちゃいました、10倍になっちゃいました」うちだったら百何十倍になったわけですよね。 この仕組みを考えることが仕事だぞと。 「頑張らなくてもいい方法をみんな考えろよ」と、これが仕事だぞといっているわけです。

では、頑張らなくていい方法でそんなうまい話があるのかと言いますよね。 発想は簡単なんです。 自分達にとってもっとも不利なことを考えろと。 自分達にとって不利という事は、対極に位置するお客さまにとって有利なことになるわけです。

そうすると、お客さまは黙っていても自分達の指を掴んでくれるんです。 これでもし、掴んでもらったのに利益が出なかったら駄目ですよ。 でもほんのちょっとのお駄賃を貰うだけでいいんです。 こっちの方が良かったら、お客さまはお駄賃をくれるんです。

そうすると頑張らなくても勝手にお客さまが来てくれるんです。 その仕組みを作る事が一番大事だぞと。 その為の発想方法は自分達にとって一番不利なことを考えろと。 自分達に不利なことって山ほどありますね。

今までは、大企業が自分達にとって有利なものを武器と称して、この武器をフルに利用したんです。 だから大企業になったでしょう。 ベンチャーは大企業がやっている事の逆をやればいいんです。 大企業の武器はこれから足かせになるんです。 彼らの武器を足かせに変えてしまえばいい、そんな発想力が大事です。

そのためには業を熟知していなくては駄目なんです。 今までの業、やっている事の本質を全部熟知してないとその発想が生まれないんです。 だから専門集団、専門家じゃないとビジネスは成功しないんです。

「インターネットを使うと、あれなんか上手くいくんじゃないの」とか「携帯を使えば成功するんじゃないの?」というのでは全部失敗します。 世の中には専門家がいくらでもいるんですから。 その人たちがインターネットというツールを使い始めたら、あっという間にやられますよ。 そういう意味で、プロでなければ商売は出来ないんですけれども、ただ発想は逆転させないといけないんですよね。

【続く:3/4】





内外の調和


織田信長が絶頂期であった1579年。 一人のキリスト教宣教師が来日した。

彼の名はバリニャーノ。 彼は「日本布教長心得」という一書を作成し、外国人宣教師は日本語を徹底して学ぶこと、日本の文化に適応することを打ち出した。 そこには以下のような一文が入っている。

日本人は外見に左右され、美しい儀礼を好むから、主要な土地では美しい教会を建てるべきである。

それまで日本に来ていた宣教師は清貧を重んじていたため、あえて粗末な服装を着用し、ボロボロの教会に住んでいることが多かった。

ところが、外国では賢者がボロをまとって一般大衆と交わっていても尊敬されるのに、日本では尊敬どころか乞食扱いを受けてしまうという始末である。

よって、知日家であったバリニャーノは、そのやりかたでは日本での布教は困難と考え、絹の服装を着用し、美しい教会を建てたのであった。

さて、営業やセールスに関する本には、「スーツをパリッと」「汚れた靴は履くな」などと書かれていることは珍しくないだろう。 世界最高の商品を扱っていたとしても、外見がみすぼらしければ、信用されない。

なにも外見に左右されるのは日本人に限った事ではないが、昔から、日本人のメンタリティーが外見に左右されやすいということは知っていて損はない。 文化や時代観を的確にとらえて経営に活かす事が出来れば、無用な苦労を避けられる。

ちなみに、私はこのような文化を知っていたために、逆に過ちを犯したことがある。

2000年8月はネットバブルがすでにはじけてしまい、ネットベンチャーにとっては逆風が吹いていた。 そんな中で起業した私は「それでも、最低限投資家が安心するよう、まともなオフィスを構えよう」ということで、ネットベンチャーのメッカである渋谷のビルにオフィスを構えた。

ところが、当時は「ネットは駄目だ」の一点張りで投資家であるVCから完全にそっぽを向かれてしまった。

「せっかく渋谷にちゃんとしたオフィスを構えたのに」という念を抱きながらも、4ヵ月後には品川の民家の中にオフィスを移転する事となる。 社内からは「都落ちみたいで嫌だ」という意見が出るほど惨めな移転であった。

「分相応」という言葉があるが、我々の起業時の渋谷オフィスは「分不相応」であり、失敗した後の品川オフィスは「分相応」であった。 ここでようやく内外の調和が保たれる事になった。 我々はこれにより内外の調和について身を持って学ぶことが出来たわけだ。

実際、よいオフィスを構えたからといって中身がなければ投資は受けられない。 2000年3月ごろまでは「ビジネスプラン」だけで投資を受ける事が出来た。 ところが、それ以降はビジネスプランだけでは投資を受ける事ができるような状況ではなかった。

我々はビジネスプランしかもっていなかったため、たとえ立派なオフィスを構えていたとしても、全く無意味だったのである。 完全に時代や状況を読み誤っていたといえる。

インドには次のような説話がある。

ある国の王様が、晩餐会に一人の高僧を招いた。 その高僧が城門の前に来ると門番に次のように言われた。

「乞食坊主、ここはお前のようなものが来るところではない。 さっさと帰れ!」

高僧は王様に招かれたと告げたのだが、門番は通してくれない。 そこへ、騒ぎを聞きつけた王様がやってきて、高僧を見るなり、「帰れ、乞食坊主!お前のようなヤツを招待した覚えはない」という。

実は、王様は高僧と面識がなかったうえ、その日の高僧はぼろぼろの衣を身にまとっていたのである。

それから一年後、ふたたび王様から招きをうけた高僧は、絹の衣を身にまとい、さらに金の袈裟をかけてお城にやってきた。

すると今度は大変なもてなしを受け、王様からは「ご聖人様、お好きなものをお召し上がりくださいませ」といわれたため、絹の衣の一部をスープの中に浸し始めた。 王様が驚いて、「ご聖人様、何をなされます!?」というと、高僧は涼しい顔でこういったのである。

「見てのとおり、衣にスープを吸わせているのだ。 王様が招待したのは私ではなく、この絹の衣と金の袈裟なのだから」

国を治めるほどの人物であっても、外観に惑わされるのであるから、一般人の多くは外観に惑わされるのがむしろ当然とわきまえておくのが無難である。 余程人格的に立派で物事の本質をとらえ、謙虚さを持ち合わせている人物でなければ、外見や年齢や身分に惑わされてしまうだろう。

如何においしいりんごジュースも、異様で不潔そうな容器に入れられていては、初めて買おうというお客様は手を出せないだろう。 入れ物だけでなく、販売しているお店が汚くて怪しげでは足も踏み入れまい。

今の時代、外観を無視する事はビジネス上のルールを違反することだといえるかもしれない。 少なくとも、可能な限り概観を整えることによって、すばらしい商品やサービスを世に広めようとする努力は当たり前の行為である。 実力を発揮するためにも無用な誤解は避けたいところでもある。 (戦略的にみすぼらしくして成功する場合も一部にはあるが。 )

ただし、必要以上や実力以上に華美にせよといっているのではない。 先にも述べたように、可能な限り「分相応」に対応するべきである。 たとえば、立派なオフィスビルを建てたがために、資金繰りに行き詰って会社がなくなるのでは論外であるし、外見をよくするためにカードでローンしすぎて生活費が回らないというのでもいけない。

さらに、分不相応の高級車を乗り回しているような若者は見る者を不快にすらさせるだろう。 外観で人を惑わそうとしても、すぐにメッキははがれるものだ。

内外の調和を保つためには、己を知り、相手を知り、社会情勢を知らなければならない。 つまり「これが絶対的に、永遠に正しい」という外観などはない。

外見・外観についての気配りや配慮が大切なことはお分かりいただけたと思う。 人が外面的なもので判断しようとする事は、よい悪いという問題というよりも、人間の性質に関わるものである。 特に初対面であれば、外見から判断しようとしてしまうのは誰でもすることであるし、会社を選ぶ際にも、中身ではなくオフィスや知名度で選んでしまうのが一般的である。

見たこともない商品、買って見なければ、使ってみなければ分からない商品、高額な商品であれば最初に外見で安心感を得られなければ購入できないだろう。 故に、そこを逆手にとって、自然に選ばれるようにするほうが得策である。

これまで見てきたように、外面を整える努力をするとしても、内面と外面のバランスにも気をつけなければならないというように考えてみると、やはり内面的なもの、すなわち実力や人格を磨く事も大切だという事が分かる。

内外の調和が誤解をさけ、物事をスムーズに進めてくれることは念頭に置いて経営したい。

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【編集後記】

読者の皆さん、おはようございます!前号vol.133にて熊谷社長の著書『一冊の手帳で夢は必ずかなう』(熊谷正寿著:かんき出版:1470円)のプレゼントには大変多くの読者の皆さんからご応募いただきました。

あのプレゼントは私が勝手に実施したものだったのですが、熊谷社長から「本日中に20冊、御社に郵送させていただきますから、お使いください」というメールが届きました。 私はそのメールをいただいたとき「あー、この方は相当『徳』を積んでいる方だな」と思いました。 そして「徳」を積み続けている方だなと思いました。

私から既に10冊ですから、合計「30名」のみなさまにプレゼントいたします!

ということで、私と熊谷社長から同著をプレゼントさせていただきますね。 同著には、「私から」で申し訳ないんですが、「私の」サインして発送したいと思いますので、「もう買ってしまったよ」という方もどうぞ。 当たったら、買った本は周りの人にプレゼントすれば、喜ばれると思いますよ(笑)。

「欲しい!」と思われる方は、ぜひとも応募してください。 何事も求める心と行動がなければ、何も得られません。 チャンスは自ら創造しましょう。

応募方法は1.ニックネーム、2.お名前、3.送付先を書いて、メールに返信するか、発行元メールアドレスにメールを送ってください。 締め切りは4月14日(水曜日)23時までとさせていただきます。 当選者の発表は4月16日号に延期です(笑)。

応募メールにプレビに対するご意見ご感想を添えて応募してくださっている皆様にとっても感謝しております。 また熊谷社長へのご感想もたくさんいただきました。 熊谷社長にもまとめてお渡ししたいと思っております。 ありがとうございます。

では、たくさんのご応募をお待ちしております!

PS・・・この本は重版が決まって5.5万部発行だそうです。 ビジネス書としては驚異的に売れています。
(参照「必見、熊谷社長のブログ」:http://www.kumagai.com

まだ下に続きがあります。 。 。

一冊の手帳で夢は必ずかなう』(熊谷正寿著:かんき出版:1470円)

さらに・・・ですが、『会社人間の死と再生』(村上龍著:扶桑社:1400円)に私の対談記事が掲載されているのを偶然発見しました(笑)。 これが龍さんと私の出会いなのですが、SPAに掲載された記事と全く同じですので、ご覧になりたい方はこちらをどうぞ。

会社人間の死と再生』(村上龍著:扶桑社:1400円)





【2004年のスローガン】

ヤリキリ

【目標】

2004年6月末までに読者数5万人を超える。
2004年6月末までによりクオリティーの高いデザインに変更する

【ミッション】

プレジデントビジョンのミッションは、一人でも多くの起業家や優れた経営者を生み出すことに貢献し、社会をよりよくしていくことです。

【お願い】

これからがんばろうという人が周りにいたら、このメールを転送していただきたいです!

【配信日】

本編の発行は祝日を除く月・水・金。 PR号(全面広告)の発行は火・木となります。







プレジデントビジョ
ンに登場した社長へのご質問があれば下記から投稿してください。 発行者が読者の皆様にかわって登場社長に質問いたします。 なお、非常にお忙しい方々だと思いますのでご質問に対しての回答は保障しかねます。 ご了承ください。 なお、質問に対する応えは、メルマガ上か「ご意見・ご感想」による紹介という形でさせていただきます。 (社長への質問とご意見・ご感想を下記から投稿できます)

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