● ありがとうございます。
それでは好きな言葉を教えてください。
好きな言葉は「エンジョイ」です。
たとえば楽しいこともエンジョイするし、経営上の苦しいこともエンジョイする。
経営者として、ひとつ壁を乗り越えられたら、それが自分の知恵や知識、経験になりますから、楽しいことだけをエンジョイするのではないのです。
経営者になったからには、苦しいこともエンジョイしていかないとその先やっていけませんよ(笑)。
苦しいことをエンジョイしないから、どんどん陰にこもっていき、それこそノイローゼのような状態になってしまう。
やはり経営者として辛いこととか苦難に遭遇しても、それさえも楽しんでしまえるようなことが重要だと私は思います。
● 好きな人物はいらっしゃいますか。
中村天風さんです。
彼について書かれている本を読んでみると、経営者の理念の基の部分にあたるような話をされているんです。
一方、経営の本や自己啓発の本が現在たくさん出版されていますが、読んでみるとけっこう戦術的な内容のものが多いですね。
私よりも若い経営者の方とお会いする機会もありますが、話をしてみるとやはり戦術的な本を読まれている方が多すぎるように感じます。
そうすると小手先の勝負にばかり気をとられてしまうので、なんのために自分はやっているのかといった自分や会社の存在意義や理念が抜けてしまっているのです。
その代わりにどうしたら商品が売れるのか―そこに向かって走ってしまうんです。
またもうひとり、私がやっていた少林寺拳法の宗道臣先生 という初代管長 です。
どういうところが好きかといいますと、世の中には本音と建前があるということを最初にはっきりと宣言されていることです。
建前だけで突っ走るやつも駄目だが、本音だけでいくのも駄目だということを、高校生ぐらいの頃から言われていました。
なんとなく、これは本音で話そうとか、建前でいこうとか・・・こういう意識が出てきますよね。
人間は本音と建前を状況によって使い分けなければならないのです。
それと世の中は、人の質ですべてが変わるよということも教えられました。
だから人の質を上げること。
これ以外に世の中をよくする方法はないということも教わりました。
● 好きな本はございますか。
宮本武蔵について書かれている『五輪書』です。
一定のものと不安定なもののリズムが上手い具合に調和しているのを1/fの揺らぎ理論といい、非連続を意味します。
この揺らぎが、人間に快適性を与えると言われています。
ですから、人間の生き方は揺らぎ理論に基づくべきなんです。
ずっと連続していると、どこかで息が詰まります。
でもダラダラしていてもダメ。
やっぱりそのときそのときでびしっとしたり、だらっとしたりという、そういう非連続的な生き方。
そういうことが詰まっているのが『五輪書』だと思います。
● ありがとうございます。
それでは最後に今後の御社のビジョンを教えてください。
ガンなどの病気が世の中からなくなるような、そうした世の中を創るために社会貢献をしていきたいと思っています。
ちょっと大きすぎて無理なように感じますが、ビジョンというのは、無理な程度でいいと思うんです。
すぐに達成できるようなビジョンは、ビジョンとは言えません。
ですから、私たちの今後のビジョンは世の中から病気をなくすことなんです。
これは体のことだけではなく、精神的なことも含めて両面からの意味をさします。
体を治すのは、お医者さまやそれに携わる人の仕事ですよね。
私たちができる範囲というのは、フィジカル・メンタル両方に通じてなくすということです。
人間は本当 は125歳まで生きられるらしいので、125歳を全うできる、しかもエンジョイできる。
そうした世の中を創り上げていきたいです。
【完:5/5】
次号:株式会社パソナテック 代表取締役社長 森本 宏一 氏