【増永】 黒字転換して以降、ずっと黒字を実現されているのですか。
単月黒字を継続しています。増収・増益も実現しているので、極端に大きなことをしなければ、つぶれることはないと思います。とはいえ、まだ何も実現できていないですし、まだまだ頑張らないといけないと思っています。
● 2011年そして2012年にも増資を実施されていますが、黒字であるのになぜ資金調達を行なうのか、周囲からは疑問に思われませんか。
確かに幸いなことに、緊急を要しているような状態ではありません。しかしながら私たちは、資金調達については戦略的に進めているんです。
現在クロールしている海外データをもとにして欧米企業、日系企業にサービス展開したい―今やアジアは世界市場となっています。ヨーロッパもアメリカも日本の商品も、アジア各国で消費されている時代じゃないですか。
アジアは人口的に言えば間違いなく、世界市場のハブとなる地域。すると、モノが売れるという情報やコンサルティングなども含めて、その地域に向けた販売戦略を立てる需要は高く、欧米企業やアジアの企業は、絶対に欲しいはずなんです。ということは、ビジネスモデル自体も成立するはずだと予測できます。
まだ会社の体力はそれほどあるわけではないのですが、今年3月ベトナムに会社を登記しました。これらを基盤に、まずは日本で地位を確立した上で、アジアへの展開を検討しているんです。
ここで、ビジネスが成功した際には、一気にアジア地域に拠点を作ることを考えています。そのための戦略の一つが、資金調達になるのです。
● では、黒字経営を継続できている秘訣につながるような、澤社長こだわりの経営スタイルがあればぜひ教えてください。
そうですね、経営をする上で大切にしていることはあります。それは、近江商人の「三方よし」の考え方ですね。経営の基本は、「売り手よし、買い手よし、世間よし」に集約されていると思っています。
極端な話、不要なものを無理に押し売りしてはいけないし、欲しいといわれて使ってもらったとしても、それが世の中の役に立たないものであればそもそも提供してはいけない。今、その点が少しずれているような気がしているんです。
たとえば、「三方よし」になっていないのに、売上が伸びている会社さんはたくさんあると思うんですよ。でも、そういうのって一時的なものであると私は思っています。
継続的にビジネスを続けていく、もしくは社会貢献をしていくためには、「三方よし」という考え方が絶対に大事。
経営をしているといろいろなステージを経験しますが、どうしても目先の売上に走りがちというか・・・売上を一気に伸ばせるタイミングに遭遇することがあるじゃないですか。そこに乗りたい気持ちは一度ぐっと抑えて、まずそれが「三方よし」に適っているか―を考えるんです。単なるお金儲けだけで前に進まないよう、自制しつつ経営をしていますね。
【続く:4/5】
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